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CezanneはRenoirをZen 3に置き換えただけでなくあちこち再設計されている AMD CPUロードマップ(1/3)

大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

1月26日、AMDはCezanne(セザンヌ)シリーズの詳細に関して情報を公開したが、その詳細はKTU氏が解説しているのでこちらを参照いただくとして、その他の話題を三題噺形式で紹介しよう。

記録的な売り上げだった2020年

Cezanneシリーズの詳細を公開したのと同じ1月26日、AMDは2020年第4四半期決算、および2020年通期の決算を発表したが、なかなか壮絶なものになった。決算のプレゼンからいくつか紹介すると、まず四半期あたりの売上は前年の21億3000万ドルから5割以上増えた32億4000万ドル、年間の売上は2019年の67億3000万ドルから97億6000万ドルと、売上が100億ドル目前というところまで達した。

2020年第4四半期決算の概要。粗利益は45%で、前年第4四半期と同等、2020年第3四半期から1%アップ。現金および現金等価物、短期投資の合計も22.9億ドルまで増加した

Lisa Su氏がCEOに就任したのは2014年10月で、実質2015年からが彼女の直接的な責任になるわけだが、直近5年間で毎年粗利益を増やしてきた、というのは大した業績である

直近5年間の主要な数字をまとめたのが下表であるが、毎年10億ドル以上売上を増やすとともに粗利率を目覚ましく改善させており、2018年からは黒字転換も果たす。

AMD直近5年間の決算内容
年度 2020 2019 2018 2017 2016
売上高 97億6300万ドル 67億3100万ドル 64億7500万ドル 52億5300万ドル 43億1900万ドル
粗利益 43億4700万ドル 28億6800万ドル 24億4700万ドル 17億8700万ドル 10億300万ドル
粗利率 45% 43% 38% 34% 23%
営業利益 13億6900万ドル 6億3100万ドル 4億5100万ドル 1億2700万ドル -3億7300万ドル
営業利益率 14% 9.4% 7% 2.4% -8.6%
純利益 24億9000万ドル 3億4100万ドル 3億3700万ドル -3300万ドル -4億9800万ドル

その2019年は営業利益こそ増えたものの2020年に向けた仕込みや長期負債の一挙軽減もあって純利益などは2018年と変わらない程度だった。これが2020年はいきなり25億ドル近くまで増えており、実に7倍である。

売上高と営業利益に関しては部門別にも示されており、こちらを見てみるとまずComputing and Graphics、つまりCPUとGPUは売上がこの5年間で3倍以上に伸び、営業利益も-2.5億ドルから12.6億ドルまで急速に改善しているのがわかる。

AMD直近5年間の部門別売上高
年度 2020 2019 2018 2017 2016
Computing and Graphics 64億3200万ドル 47億900万ドル 41億2500万ドル 29億7700万ドル 19億8800万ドル
Enterprise,
Embedded and
Semi-Custom
33億3100万ドル 20億2200万ドル 23億5000万ドル 22億7600万ドル 23億3100万ドル
AMD直近5年間の部門別営業利益
年度 2020 2019 2018 2017 2016
Computing and Graphics 12億6600万ドル 5億7700万ドル 4億7000万ドル 9200万ドル -2億4300万ドル
Enterprise,
Embedded and
Semi-Custom
3億9100万ドル 2億6300万ドル 1億6300万ドル 1億3200万ドル 2億8700万ドル
その他 -2億8800万ドル -2億900万ドル -1億8200万ドル -9700万ドル -4億1700万ドル

ここで大きな貢献はもちろんRyzenであろうが、2019年と2020年はNAVIベースのRadeon RXシリーズもそれなりに貢献したものとしていいだろう。また、特に部門別営業利益を見て思うのは、2016年を乗り切れたのはEnterprise, Embedded and Semi-Customのお陰であるが、この当時だから要するにPS4とXbox Oneであって、これがなかったら2017年以降のAMDにはつながらなかった気もする。

そういう意味では間一髪で間に合ったという話ではあるのだが、そもそもSu氏が2012年にCOOとしてAMDに入社して最初の仕事が当時のソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)とマイクロソフトにAMDベースのSoCを売りに行ったことだそうで、これをまとめたSu氏がCEOになったのはある意味必然だったわけだ。

半導体企業として粗利率45%は「普通の会社」であるが、逆に言えばAMDはこれまでその普通の会社たり得なかったわけで、やっと普通の会社になったというべきか。もっともライバルであるインテルはここ数年不調と言われつつ、2020年度の売上高は778億6700万ドル、粗利率は56%に達する(ちなみにこれでも落ちた方で、2018年と2019年の粗利率はそれぞれ61.7%、58.6%だった)。

インテルの純利益は208億9900万ドルであり、売上高で8.0倍、純利益で8.4倍に達しており、まだ追いつくには相当時間がかかることは間違いない。

ちなみにAMDは昨年のFinancial Analyst Daysで、今後の会社のロードマップを示した話はご紹介した通りである。成長率などを1年で議論しても仕方ないのでおいておくとして、粗利益の50%以上はまだ達成できていないし、営業利益率は2020年でも14%なので、目標の20%台にはもう少しがんばる必要がある。その意味では引き続き同社というかSu CEOはアクセルを踏み続けるであろう。

余談だが、AMDは2019年と2020年、それと今年で負債の大半を片付ける予定である。下の画像が負債の一覧であり(単位は100万ドル)、項目は以下のようになっている。

AMDの負債一覧。ちなみに2017年末にトータルで58億7600万ドルの負債を抱えており、この3年でそのうちの20億ドルほどを解消した形だ。その2017年末における計画では2023年以降に13億2200万ドルほど債務が残る計画だったのが、直近では8300万ドルほどしか残らない計画になっており、かなり前倒しが進んでいることになる

負債項目
Term debt 長期借入金
Aggregate interest obligation 有利子負債
Other long-term liabilities その他の長期債務
Operating leases リース費用
Purchase obligations 購入債務

現時点でトータル38億6700万ドルほどであるが、純利益で25億ドル近くを確保している現在の財務状況からすれば、これを償却するのはそう難しくないと考えられる。こうした債務がなくなれば、その分を利益やフリーキャッシュフローに回せるので、昨年公開されたロードマップの実現はそう遠くないかもしれない。

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