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【PCパーツメーカーインタビュー企画第1回】

国内ユーザーの意見も活かされている!ASRock原口氏に聞いたAMDプラットフォームのコダワリに迫る(2/2)

文● 宮崎真一 編集● AMD HEROES編集部

――最近ですと、ミドルレンジ向けのRadeon RX 6700 XTがリリースされましたが、御社の搭載モデルの反響はいかがでしたか?

原口氏:競合製品の価格が高騰していることもありまして、少々高価ではありますが、意外とコスパはいいという反響をいただいております。個人的には700番台のモデルとしては、価格が上がったなという印象もあるのですが、市場全体の価格が高騰してる中で、弊社のRX 6700 XT搭載モデルは、比較的価格は抑えられているんじゃないかと自負しています。RX 6700 XTはメモリ容量が従来のミドルレンジ向けモデルとしては増強されていますので、そこのワットパフォーマンスが改善されているのは、かなりいいGPUだと思います。

――AMDというと以前は供給面であまり芳しくないイメージがありましたが、現行世代ではそのイメージに変化はありましたか?

原口氏:Ryzen 3000シリーズは、供給面で非常に健闘したCPUだと思います。続くRyzen 5000シリーズは、まだ登場して日も浅いですし、世界規模での半導体不足の現況ですので、今後に期待といったところでしょうか、弊社の製品では、マザーボードはそれこそ売るほどありますし、弊社において日本市場はかなり注力していますので、たまたま売り切れになっている場合はあるかもしれませんが、弊社のマザーボードが入手し辛い状況にはならないと思います。

――グラフィックスカードで今後注力していきたいのは、RX 6000シリーズにおいてどのGPUになりますか?

原口氏:ボリュームゾーンでいうと、やはりRX 6700 XTになると思います。実売価格で5万円~10万円のモデルがよく売れているというのも要因の1つです。また、GPUの性能差はもちろんありますが、RX 6700 XT搭載モデルのカードの仕様自体は、上位モデルとあまり大差ないレベルに落とし込んだ出来になっていますので、ぜひユーザーさんの手元に早くお届けできればなと考えています。

RDNA 2アーキテクチャを採用するRX 6000シリーズ

――RX 6700 XTの魅力はどこにあるとお考えですか?

原口氏:RX 6700 XTは、HBMのようなメモリの帯域幅が秀でているというわけではなく、「Smart Access Memory」や「Infinity Cache」により、あまり電力を消費せずにメモリパフォーマンスが向上している点が、大きな特色だと思います。これは個人的な使い方なんですが、以前のRX 5000シリーズは、動作クロックやパワーリミットを抑えたほうがワットパフォーマンスは向上します。ですが、RX 6700 XTについては、動作クロックやパワーリミットを動作する範囲内で高めたほうが、いい動きをする印象です。

――御社のRX 6000シリーズのラインナップですと、Taichiシリーズなどいくつかありますが、どれが市場では好評ですか?

原口氏:やはり、Phantom Gamingシリーズですね。弊社では、マザーボードとグラフィックスカードで同じシリーズ名で展開していますが、ユーザーさんの中には両者をPhantom Gamingで揃えたいと考える方が多くいらっしゃるようです。その一方で、Challengerシリーズのグラフィックスカードは、Pro4シリーズやSteel Legendシリーズのマザーボードと組み合わせてご利用になるユーザーさんが多いですね。

マザーボードとシリーズを揃えるユーザーも多いというPhantom Gaming。写真はRX 6700 XT Phantom Gaming D 12G OC

コスパに優れるChallengerシリーズのRX 6700 XT Challenger Pro 12G OC

――最も売れたグラフィックスカードはどれになりますか?

原口氏:「Radeon RX 6800 XT Taichi X 16G OC」ですね。日本市場に入ってきた量が多かったというのが理由の1つですが、それ以外にもTaichiシリーズのグラフィックスカードが欲しいとおっしゃっていただけるユーザーさんが、多くいらっしゃったのがありがたいですね。一番いいグラフィックスカード=Taichiシリーズという認識が、ユーザーさんの中にかなり広まってきているのかなと思います。

RX 6000シリーズでは最も売れたと言うRadeon RX 6800 XT Taichi X 16G OC

――現在、半導体不足に加えて、マイニング需要の高まりによって、なかなかグラフィックスカードが品不足になっています。たとえば、AMDにGPU自体にマイニングに関する制限を掛けてもらいたいと思いますか?

原口氏:弊社のグラフィックスカードですが、マイニング用途に関しては、一般的な使用方法ではないので、ゲームなどに使っていただきたいですね。もちろん、故障が起きないように過酷な環境下でのストレステストを行っており、製品自体に自信もありますし、手を抜いていることはないのですが、365日間24時間ずっと負荷を掛け続けるといった用途向けに設計した製品ではない点はご理解いただきたいです。弊社のグラフィックスカードは、コンシューマー向けの製品ですので、適した用途で使っていただきたいですね。RDNA 2アーキテクチャは、ゲーム用途向けに設計されたGPUだと思いますので、そちらにフォーカスした製品を弊社は作っていくべきだと考えています。

――お話できないと思いますが、なにか用意している新製品はありますか?

原口氏:まだ、詳細が決まっていないためお答えできませんが、⽇本市場向けに欲しい機能を30個ぐらい本社に提⽰していて、いくつか採⽤された新モデルが登場するかもしれません。今後も⽇本のユーザーさんの意⾒を聞いて、より良い製品を作っていきたいと常⽇頃考えていますので、ご意⾒ご要望をぜひASRock JapanのTwitterまでお待ちしています。もちろん、ASRockのWEBサイトのフォームから技術サポートに熱い思いを⻑⽂でお送りいただいても⼤丈夫です。実際、その内容がかなりよくて、精査したところ、実際にマザーボードに追加されたという実績もあります。

――具体的にユーザーの意見が反映されたモデルは何ですか?

原口氏:DeskMini A300はまさにそれで、DeskMiniでAMDのAPUを載せたものが欲しいというユーザーさんの一声から始まって、製品化したモデルですね。そのほかですと、B450 Steel Legendは白色を基調にしたデザインとなっていますが、それもユーザーさんの声を反映した形です。あとは、X570搭載マザーボードにThunderboltを望む方もいらっしゃいまして、その声に応える形で、AMDプラットフォームでは世界で初めてThunderbolt 3認証を取得した「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」をリリースしました。

ユーザーの声から生まれたという小型ベアボーンキットのDeskMini A300

白色を基調にしたデザインのB450 Steel Legend

AMDプラットフォームでは世界初のThunderbolt 3認証モデルであるX570 Phantom Gaming-ITX/TB3

――かなりユーザーさんの意見を製品開発に活かしているんですね。

原口氏:ASRockというと、以前はほかのメーカーでは見られない一風変わったモデルを作っており「変態」というイメージが強くあったと思うのですが、最近は、ASRockは落ち着いたと言われることが多くなってきました。これは、ユーザーさんの意見を取り入れて、手堅い製品を作るノウハウが溜まってきているのかなと思います。日本市場はグローバルで見ると決して大きなものではありません。製品作りにその市場の声を聞くのは不思議に思うかもしれませんが、それがグローバルで売れる可能性が高いです。

日本市場のユーザーさんは、かなり仕様や機能にもこだわりを持っておられますし、それが世界のユーザーさんの心を動かすことがあります。ですので、弊社のマザーボードで欲しい機能がありましたら、気軽にお声をいただければと思います。ひょっとしたら、次の世代や次の次の世代の製品で、その声を反映したモデルが登場するかもしれません。ユーザーのみなさんと一緒に成長していくマザーボードメーカーと言っても過言ではないと思います。

――今後、AMDに望んでいることはありますか?

原口氏:CPUコアをもっともっと増やして欲しいですね。128コアだったり、256コアだったり、メニーメニーコアをAMDには作っていただきたいですね。個人的には、CPUコアの多さは幸福度とイコールだと考えていますので、もっともっとコア数を増やして、多くのユーザーさんを幸せにしていただきたいですね。何かをしながらゲームしたり、ゲームしながら配信を見たりと、CPUでさまざまなことをするにはCPUコアは多いほうがいいですね。CPUの動作クロックは、マザーボードメーカーが頑張ればなんとかなるのですが、コア数だけはどうしようもないので、そこはAMDに頑張って欲しいですね。


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