Ryzen APU搭載の小型PCが人気に
林田 昨年は、今まで法人向けのMouseProでインテルCPUを搭載して販売していた小型パソコンを、AMDのCPUで出させて頂きました。我々の中でもチャレンジャブルな製品でしたが、サイズも小型で、ゲームなどをバリバリ遊ぶような使い方でなければ、十分な性能があり、リビングなどで使う小型PCとして非常に好評を頂きました。
出しては見たものの受け入れられるかどうかと思っていましたが、大々的に宣伝することもなく、じわじわと人気が出て、普通に売れていきましたので、このセグメントはアリなんだなと思いました。
動画を見たりといった、ご家庭でよく行なわれる使い方では、Ryzenの強みが活きるので、そういったところが家庭向けとしてフィットしたと思われるので、この分野も今後頑張っていきたいです。
編集部 メモリーが4GBのより安価なモデル(mouse CT6-L)も発売されていましたが、一番売れたのは最も安価なモデルだったのでしょうか?
林田 そんなことはなかったですね。やはりスタンダードなモデルが一番売れていましたし、メモリーのカスタマイズをされている方も多いということでしたので、メモリーをよりリッチにしたモデル(mouse CT6-H)も追加させて頂きました。
編集部 標準で有線のキーボードとマウスが付属されていましたが、この理由は?
林田 たとえば小型なのでBluetoothのキーボードやマウスを付けますよというのは、ストーリーとしては綺麗なのですが、それだと初回ログインの時に使えません。そのため、最初のBOOTの時でも使える有線キーボードとマウスが付属して、お客様が困らないようにさせて貰っています。
編集部 最新の第4世代Ryzenはシングルスレッド性能も競合のインテルCPUを超え、ゲーミングPCではRyzen搭載機を求める方が増えてきていると思いますが、シェアの推移はいかがでしょうか?
林田 増えては来ていますが、逆転するには至っていません。しかしながら、性能面に関してはアドバンテージがありますので、もっとお客様の方にG-TuneのRyzen搭載モデルも頑張っているということをお伝えしていきたいですね。
小林 ノートPCに関しては、採用実績がどちらかというとmouseブランドのスタンダードの製品に多いので、ゲーミングPCのシェアという切り口では、あまり効果は出ていません。しかし、特にCezanne(セザンヌ)世代のRyzenモバイル・プロセッサーの期待度は高くなってきていますので、今後DAIVやG-Tuneといったパフォーマンスが必要なブランドの製品での搭載を検討していければと考えています。
編集部 AMDの最新パーツを採用する新製品の構想や、今後の希望などはありますか?
林田 発表されたばかりのRyzen 5000Gシリーズを採用した製品は販売したいと考えてるのですが、今までチップセットはB450を採用していたので、今後は機能をフルに活用できるB550チップセットの採用を検討を鋭意進めているところです。もうしばらくお待ち頂くことになるかと思いますが、ご期待ください。
編集部 APU搭載製品は今までも人気があったのですか?
林田 弊社では、APU搭載製品はそこまで人気が高くないですね。Ryzen 5 3500などを搭載し、ビデオカードにGeForce GTX 1650 SUPERやGeForce GTX 1660 SUPERを採用したコスパの良いゲーミングPCの方が人気が高いです。
実は弊社、3万9800円や4万9800円など、より価格が安いPCは、インテルのローエンドのCPUを搭載した製品しかなく、これといった特徴が出せていなくて苦手でした。そのため、Ryzen 5000Gを搭載した動画視聴やライトなゲームが快適に動作するAPUの特徴(優秀な内蔵GPU)を活かした製品が出せればと思います。
編集部 ライトなゲームというと、具体的にはどういったゲームを想定されているのでしょうか。
林田 具体的に問合せの多いタイトルまでは聞き及んでいませんが、たとえばブラウザーゲームを遊ばれるお客様には、必ずしもビデオカードを搭載する製品は必要ありません。最近話題の「ウマ娘 プリティーダービー」などは、推奨スペックにビデオカードが記載されていてリッチ化し、それなりに性能を要求します。ビデオカードを搭載したゲーミングPCとまではいかないけれども、といった(ウマ娘などのゲームを楽しむ)お客様向けにRyzen APU搭載PCが上手くハマってくれればと思っています。
編集部 ウマ娘は割と重くて、4年前のスマホでは10fpsを下回り、性能の低いと頻繁に落ちる時があったみたいですね。しかし、Ryzen APU搭載機であれば平均30fpsは余裕で、快適にプレイできるのでオススメですね。
林田 落ちないからPCでプレイするというのは、確かにオススメできるポイントですね。
編集部 AMDプラットフォームでここは良いな、と思っていらっしゃることは何かありますか?
林田 開発側の視点としては、来年はさすがに変わるようですが、ファンのソケットが変わらないといった互換性はありがたかったですね。
編集部 AMDさんにもっとここは良くして欲しいといったような、要望などは何かありますか?
小林 モバイルのプラットフォームだと、インテルがTiger Lakeで内蔵GPUの性能を向上してきましたが、内蔵GPUの性能の高さは、やはりAMDの十八番だと思っています。AMDが持っているCPUとGPUのノウハウを良い意味で組み合わせて頂いて、性能と電力の部分のメリハリのあるプロダクトを出して頂くと、製品としてより魅力的になってくるのではないでしょうか。
また、AMDさんは自分たちの持っているシリコンの方に注力していらっしゃいますが、周辺の方も重要になってきていると思っているので、たとえば無線LANなども含め、もっとパートナーと協力して貰えると、製品としてのプラットフォームがより盤石になるのではないかと思います。
編集部 貴重なご意見ありがとうございました。