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Radeon PRO W6800のライバルは
Quadro RTX 5000
その性能や消費電力、価格での対決例が下の画像だ。AMDとしてはRadeon PRO W6800の競合製品はRTX A6000ではなくQuadro RTX 5000と位置付けているようだ。
実際、スペック的にはQuadro RTX 5000がだいたいGeForce RTX 3080に近いので、こちらが競合と位置付けるのは間違っていない。またAMDの前モデルであるRadeon PRO VIIと比較しても、よりコストパフォーマンスが向上しているという。
さて、性能と価格差だけで見るとこれで終わりなのだが、今回はいろいろと新機能が搭載されてきた。まず最初はRadeon PRO Viewport Boost。これはあくまでも「互換性のあるアプリケーション」に限られるが、表示性能を大幅に引き上げる機能だ。
これはなにかという話だが、どうも説明を見る限りはアスキーの速報で紹介されたFidelity FX Super ResolutionのRadeon PRO版という気がする。Fidelity FX Super Resolutionは、要するにアップスケーリングで、例えば本来4Kでレンダリングするものを2Kでレンダリングし、縦横2倍に拡大する際にそれを拡大したと見せず、4Kに近い品質を保つという技法である。
これが役に立つのは、例えばレンダリング後の内部をウォークスルーするようなケースで、最終成果物をこの手法で作るのは問題があるが、そうした最終成果物の生成や、実際に細かくオブジェクトを作ったり配したり、というシーンでフレームレートが重要になる頻度は低いことを考えれば十分に有用という判断だと思われる。
ほかにもAgisoftのMetashapeを利用して衛星写真から市街地の3Dモデルを生成する作業では、Radeon PRO W6600ですらRadeon PRO W5500の37%アップだが、W6800は65%アップ、そしてデュアルW6800にすると147%アップということで大幅に性能が改善し、デュアルGPUの効果が得やすいとしている。
ところでこの右側にあるQuadro RTX 5000との性能比較が下の画像だ。Depth Mapの作成とAlign Photoの実施という2つのタスクに対し、Radeon PRO W6800とQuadro RTX 5000は同等の性能であり、そうなると先の競合他社との比較画像で示した価格差が価格性能比で効いてくるという話である。
下の画像はAct-3DのLumion 11.0という3Dレンダリングソフトである。こちらはレンダリング性能の比較になるが、Radeon PRO W6800はQuadro RTX 5000比で40%高速としている。
おもしろいのは前バージョンであるLimion 10.5との比較で、Quadro RTX 5000はバージョンアップにともなって11%レンダリング時間が増えたのに対し、Radeon PRO W6800は5%レンダリング時間削減に成功したとしていることだ。
またLumionの場合、メモリー量とメモリー帯域が大きく性能に関係するようで、4倍のVRAMと2.3倍の帯域を充てるとレンダリング速度が3.6倍速になったとする。このあたりは32GB GDDR6を搭載するRadeon PRO W6800のアドバンテージになるだろう。