電源回路はB450→B550でガラッと一新
3モデルのうち、今回手元に用意できたROG STRIX B550-I GAMINGとROG STRIX B450-I GAMINGを中心にスペック表だけでは見えない部分まで踏み込んでみよう。
ひと目で分かるのがデザインコンセプトの違いだ。基本的にMini-ITXマザーボードはデザインの自由度が低いものだが、ROG STRIX B450-I GAMINGは、その前のモデルであるROG STRIX B350-I GAMINGのデザインを広く受け継いでいる。たとえば斜めにカットされたVRMヒートシンクや、シルバーグレーを用いた配色、右辺のAURA RGB LEDだ。一方、ROG STRIX B550-I GAMINGはブラックの占める率が高くなり、大型化と内部に小径ファンが搭載された。
電源回路は、2つの製品でおそらくもっとも異なるところだろう。まず、CPU電源回路周辺のコンデンサが異なる。ROG STRIX B450-I GAMINGで用いられているのは「Super Alloy」であるが形状としてはよくあるアルミ電解固体コンデンサだ。Mini-ITXなりにパーツの間隔が狭いものの、レイアウトもトラディショナルなものだ。
一方、ROG STRIX B550-I GAMINGは背の低い(タンタルか積層セラミックかは分からない)コンデンサを用いている。そして注目してほしいのはこのコンデンサがCPUソケット上下にあるリテンション機構よりも内側にレイアウトされていることだ。これによりさらに多くのフェーズを実装できている。
フェーズ数を比べてみると、ROG STRIX B450-I GAMINGが6+1フェーズあたりで、ROG STRIX B550-I GAMINGが8+2フェーズ。トータルで3フェーズ増だ。
PWMコントローラは、ROG STRIX B450-I GAMINGもROG STRIX B550-I GAMINGも名称的にはASUS Digi+VRM。刻印を見るとROG STRIX B450-I GAMINGが「ASP1405I」、ROG STRIX B550-I GAMINGが「ASP1106JGQW」といった具合で異なるチップであることが分かる。
MOSFETは、ROG STRIX B450-I GAMINGが40A対応のInfineon「3553M」で、ROG STRIX B550-I GAMINGが50A対応のVishay「SiC639」。グレードの優劣は判別つかないが、最大出力に関してはROG STRIX B550-I GAMINGのほうが大きく、フェーズ数が増えていることとあわせて、よりパワフルな電源回路であることが分かる。
このように、ROG STRIX B550-I GAMINGはMini-ITXフォームファクタの限界に挑むようなCPU電源回路を見ることができる。Ryzen 9のようにより多くのコアを内蔵する高性能CPUをコンパクトなMini-ITXで安定動作させたい、その性能を引出したいというニーズに応えるモデルだ。