AMD HEROES

twitter
facebook
line

【AMDチップセットマザーボードレビュー第41回】

非ゲーミングながらデザインも◎! 高耐久で長く使えるGIGABYTE「X570S UD」(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

コストを抑えつつ安心感のある電源回路に
最新インターフェースを装備

電源回路は12+2フェーズ。数は十分と言えるだろう。PWMコントローラはRenesas Electronics「RAA229004」を採用。MOSFETは50A対応のVishay Intertechnology「SiC654A」をメインに、アンコア向けと思われる2フェーズにはON Semiconductorの「NTMFS4C06N」、「NTMFS4C10N」を用いていた。

構成としては、メインストリーム~エントリーグレードをMIXさせたような印象だ。CPU側はより高効率のものを、アンコア側はDrMOSではなく旧来の構成を組み合わせることで、信頼性とコストパフォーマンスのバランスを取っている。

CPU電源端子は8ピン(EPS12V)×1のみ。OCは可能だが定格運用向け

12+2フェーズ回路を採用

PWMコントローラはRenesas Electronics「RAA229004」

メインのMOSFETはVishay Intertechnology「SiC654A」

アンコア向けと思われるMOSFETはON Semiconductor「NTMFS4C06N」、「NTMFS4C10N」を2つずつ

UDシリーズのUDはUltra Durable、つまり高耐久だ。チョークコイルやコンデンサも耐久性の高いものを採用しており、6層基板、2オンス銅箔層も採用している。価格を抑えるのは主に過剰な機能を省くことで実現し、耐久性については手を抜かないポリシーと言えるだろう。

X570S UD (rev. 1.0)で驚いたのはバックパネルだ。ハイエンドモデルやゲーミングモデルでは組み立て済みバックパネルを採用するモデルも多いが、コストも重視されるスタンダードマザーボードでの採用例はめずらしいのではないだろうか。

また、そのバックパネルがステンレスポリッシュではなく、ステンレスにヘアライン風加工を施しているのもめずらしい。刻印はあるが色分けがないところは少々コストを意識している印象だが、スッキリとした見た目はなかなか良い。

ヘアライン風加工を施されたバックパネルには一通りの端子を備え、なかでもUSB 3.2 Gen 2 Type-Cや2.5GbEなど最新インターフェースも装備しているところがうれしい

バックパネルのインターフェースで特徴的なのは、PS/2やUSB 3.2 Gen 2 Type-C、2.5GbEだ。「なるべく最新・高機能」といった志向のものが多いゲーミングマザーボードと違い、スタンダードマザーボードではインターフェースの選択が悩ましい。例えば、ネットワークで言えば現在の主流はまだ1GbEであり、コスト増を嫌うスタンダードマザーボードでは1GbEまでの対応となるモデルも多い。

しかし、X570S UD (rev. 1.0)は、2.5GbEを搭載することを選択している。これはスタンダードとはいえ、X570を選択するユーザーのニーズを考慮したものだろう。

2.5GbEチップはRealtek「RTL8125BG」

USB 3.2 Gen 2 Type-Cはバックパネルに1ポートあるほか、フロント端子用にもヘッダーを1基搭載している。高速USBが前後で利用できるのはうれしいところだ。さすがにUSB4やUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cではないとしても、データ転送速度が20GbpsのUSB 3.2 Gen 2 Type-Cが利用できれば、今後もしばらく機能的な見劣りを気にしなくてすむ。

ほか、LEDイルミネーションはヘッダーでの対応になる。本体のイルミネーション発光はない。ヘッダーは3ピン×2、4ピン×2、AMD CPU付属のLED搭載リテールクーラー向けヘッダー×1がある。

LEDヘッダーは豊富

ゲーミングマザーボードに対してコストを抑えている印象なのがオーディオだ。オーディオグレードコンデンサを組み合わせ、ノイズ分離基板など基本的な設計は施されているものの、同社のゲーミングモデルにはS/N比120dBを謳う高性能コーデックなどが採用されている。

そうしたモデルと比べると、X570S UD (rev. 1.0)は音楽鑑賞や映画鑑賞、ゲーミングといった用途では、少しもの足りなさを感じるかもしれない。ここを追求する場合は、外付けのDACを用いることでカバーしよう。

コーデックはRealtek「ALC897」

分離基板を採用しつつ、オーディオグレードコンデンサを4つ搭載している

UDらしい信頼性や機能、デザイン
普段使いならこれで決まり!?

X570S UD (rev. 1.0)はたしかにスタンダードマザーボードなりにシンプルな製品ではあるが、AMD X570というハイエンドチップセットを採用している点で高機能な上、インターフェースも2021年、22年のスタンダードを見据えた選択だ。スタンダードマザーボードにありがちなコスト重視、レガシー寄りの設計とは明らかに異なる。

定格運用を前提にコストを抑えつつも、安心して使える回路設計や長く使える機能面は「Ultra Durable」らしいところで、見た目のよさもあり、ゲーミングマザーボードに飽きた方にもお勧めできる製品だ。


関連サイト

この記事もおすすめ

PAGE TOP