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【注目Radeonピックアップ!第39回】

この短さでRTX 3060越えの性能!ASRock「RX 6600 XT Challenger ITX」をレビュー(1/2)

サイズが短いグラフィックスカード、いわゆる“短尺カード”と呼ばれるモデルは、一定の需要がある。コンパクトなPCでカードサイズに制限がある場合や、ケーブルの取り回し易さを考慮する場合などで、こういった短尺カードは重宝される。だが、最近のグラフィックスカードは、GPUクーラーが肥大化する傾向にあり、高性能かつサイズが小さな製品はあまり選択肢がないというのが実情だ。

そんな中、ASRockから登場した「Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB」(以下、RX 6600 XT Challenger ITX)は、実測で約179mmと非常にコンパクトなサイズを実現。GPUには製品名のとおり、「Radeon RX 6600 XT」を採用しており、ミドルレンジ向けにあたるモデルとなる。では、このRX 6600 XT Challenger ITXは、ゲームでどの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか? ゲームを実際にプレイして、そのポテンシャルを確かめてみたい。

動作クロックはリファレンス通りながら
OC Modeではメモリークロックが上昇

まずは、RX 6600 XT Challenger ITXの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6600 XT Challenger ITXのベースクロックが1968MHz、ゲームクロックが2359MHz、ブーストクロックが2589MHzと、これはリファレンス通り。また、メモリークロックも16Gbpsと、こちらもリファレンスから変わりはない。

GPU-Z(Version 2.43.0)の実行結果

Radeon Softwareから仕様を確認したところ

だが、RX 6600 XT Challenger ITXでは、付属アプリケーションの「ASRock Tweak」(Version 2.0.38)を用いることで、「OC Mode」と「Silent Mode」の2つの動作モードが利用可能だ。

OC Modeでは、GPU-Z読みだとGPUコアの動作クロックに変化はないものの、メモリークロックが16.8Gbpsに上昇。一方のSilent Modeでは、メモリークロックは16Gbpsのままだが、ASRock Tweakを見るとPower Limitが-6%、つまりデフォルトの130Wから122Wへと抑えられている。

付属アプリケーションのASRock Tweak

OC ModeでのGPU-Zの実行結果。メモリークロックが変化しているのが確認できる

一方こちらはSilent Modeの実行結果。動作クロック設定に変化は見られない

Silent Modeにおいて、ASRock Tweakを確認するとPower Limitの値が変更されている

さらに、このASRock Tweakで、「User Mode」を選択すると、動作クロックのカスタマイズが可能。具体的にはブーストクロックを1MHz刻みで500~3150MHzに設定できるほか、メモリークロックも8Mbps刻みで16.0~19.2Gbpsへと変更可能となっている。

ASRock Tweakでは、ブーストクロックを最大3150MHz、メモリークロックを最大19.2Gbps(アプリの表記は実クロックの2400MHzまで)に設定可能となっている

GPUクーラーにはStriped Axial Fanを採用
電源部には高品質な部材を使用

それでは、次にRX 6600 XT Challenger ITXのカードそのものを見ていこう。カード長は、冒頭でも述べたとおり実測約179mmだが、基板自体は約170mmほどしかなく、GPUクーラーが9mmほどカード後方にはみ出た格好だ。また、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから18mmほど背が高くなっているので、PCケースに組み込む際は、カード上部の空間にも配慮したい。

カード長が短いこともあり、全体的にコンパクトな印象。その中でも、1基のファンが存在感を放っている

裏面には金属製バックプレートが装着されている。このバックプレートにより、カードの剛性が保たれているほか、裏面からの冷却にも一役買っている

GPUクーラーは、2スロット占有タイプの「Challenger ITXクーラー」と呼ばれるオリジナルモデルで、100mm角相当のファンを1基搭載。このファンは「Striped Axial Fan」と呼ばれるもので、ブレード表面には3本の線状の突起物が見られ、一方の裏面は研磨処理されている。ASRockによると、表裏の摩擦係数を変えることで、従来のファンに比べてエアフローが向上しているという。

また、「0dB サイレントクーリング」により、GPUコアへの負荷が低い、いわゆるアイドル状態ではファンの回転を停止する機能も用意されている。そのほか、ヒートシンクには6mm径の2本のヒートパイプを用いており、GPUベースの冷却効果が最大となるように工夫されている。

100mm角相当のファン。表面には3本の線状の突起物が設けられているのが確認できる

カードを横から見たところ。カードの厚さも2スロット分とかなり扱いやすい。また、2本のヒートパイプが利用されているのも確認できる

さらに、先ほどのASRock Tweakを用いれば、ファンの回転数制御を変更することが可能。ファン設定は「SMART MODE」「FIXED MODE」「CUSTOMIZE」の3つが用意され、工場出荷時設定は、自動制御となるSMART MODEだ。FIXED MODEでは、ファンの回転数を1%刻みで20~100%に固定することができ、CUSTOMIZEでは温度とファンの回転数の関係を示したグラフから、ユーザーが各温度における回転数を任意に変更可能だ。

ASRock Tweakからファン設定でCUSTOMIZEを選択した様子。グラフ上で回転数の変更が可能だ

また、基板には「Super Alloy Graphics Card コンポーネント」という高品質な部材が使用されている点もトピックの1つ。電源部にはMOSFETとドライバーICを1パッケージに抑えたDr.MOSを採用し、最大50Aの電流を制御可能。また、パワーチョークも60Aまで対応し、供給電圧の安定性向上を図っている。そのほか、電源部のコンデンサには、ニチコン製の製品寿命1万2000時間を誇るブラックコンデンサを採用している点も抑えておきたい。

補助電源コネクタは、8ピン1基のみの構成だ。これはリファレンス通りの仕様。また、映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4が2つに、HDMI 2.1とHDMI 2.0が1つずつの計4系統が用意されている。2つあるHDMIについて、それぞれバージョンが異なっている点は注意が必要だ。

補助電源コネクタは8ピン×1という仕様。これは、リファレンスから変わっていない

DisplayPortを2つに抑え、代わりにHDMIが2つに増やされている点は好感が持てる

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