AMDのRDNA 2アーキテクチャを採用するGPUの最下位に置かれる「Radeon RX 6600」(以下、RX 6600)は、手の届きやすい価格ながらも高いパフォーマンスを発揮するGPUとして、ユーザーの注目度は高い。
そのRX 6600を採用したASRockの「AMD Radeon RX 6600 Challenger D 8GB」(以下、RX 6600 Challenger D)は、その名のとおり、同社のラインナップでは普及価格帯モデルとなるChallengerシリーズに属する製品だ。では、このRX 6600 Challenger Dは、ゲームでどの程度の性能を発揮するのだろうか? いくつかのテストを行い、RX 6600 Challenger Dの実力を確かめてみたい。
動作クロック設定はリファレンス通り
ASRock Tweakも問題なく動作
まずは、RX 6600 Challenger Dの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6600 Challenger Dのベースクロックは1626MHz、ゲームクロックは2044MHz、ブーストクロックは2491MHzとなっており、これはリファレンスどおりの仕様だ。メモリークロックも14Gbpsと、こちらもリファレンスから変わりはない。
ASRock製のグラフィックスカードといえば、一部の製品でオーバークロックツールである「ASRock Tweak」(Version 2.0.38)が付属しているが、本製品については原稿執筆時点でWebサイトには用意されていなかった。ただ、同アプリケーションを起動してみたところ利用できたので、いずれ本製品用のものがWebサイトに掲載されるのではないかと思う。
ちなみに、ASRock Tweakでは「OC Mode」と「Silent Mode」の2つの動作モードが使用できるが、本製品では前者はPower Limitが10%上昇して110Wになり、後者は6%低下して94Wになった。それ以外の動作クロック設定は、動作モードによって変化することがなかった点は付記しておきたい。
また、ASRock Tweakでは、User Modeを選択することで、ブーストクロックとメモリークロックを変更することが可能。実際に動作可能かどうかは別として、前者は1MHz刻みで500~2900MHzに、後者は8Mbps刻みで14.0~15.2Gbps(アプリ上の表記は1750~1900MHz)にそれぞれカスタマイズできる。
カード長は実測で約268mm
Striped Axial Fanという独自ファンを採用
それでは、RX 6600 Challenger Dのカードそのものについて見ていこう。カード長は実測で約268mm(※突起部除く)だが、基板自体は170mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に大きく張り出した格好だ。また、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから26mmほどはみ出ており、基板の小ささとは裏腹にGPUクーラーはかなり大きなサイズのものを搭載している。
そのGPUクーラーは、2.1スロット占有タイプで、100mm角相当のファンを2基搭載。これらのファンは、「Striped Axial Fan」と呼ばれるもので、ブレードの表面には2本の線状の突起が施されているほか、表面と裏面で摩擦係数に変化を加えている。ASRockによると、この仕様によりリファレンスデザインのファンに比べてエアーの風圧が上昇し、冷却効果がより高まるという。さらに、GPUに対する負荷が小さいときにファンの回転を停止する「0dB サイレントクーリング」という機能も用意されている。
さらに、先ほどのASRock Tweakを用いれば、ファンの制御方法として「SMART MODE」「FIXED MODE」「CUSTOMIZE」の3つが選択可能。工場出荷時設定はSMART MODEで、これはファンの制御が自動で行われるというもの。FIXED MODEではファンの回転数を1%刻みで20~100%に固定でき、CUSTOMIZEではGPUの温度と回転数の関係を示したグラフから、各温度における回転数をユーザーが任意に指定できる。
カードを横から覗き込むと、GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが2本用いられているのが確認できる。ASRockによると、GPUベース上には「Ultra-fit Heatpipe」と呼ばれる仕組みを採用しているとのこと。
この仕組みは、ヒートパイプを押しつぶしたような形状にすることで、GPUベースと接する面積を増やし、熱平衡の効率向上を図るというもの。さらに、GPUベースはメモリーチップにも接しているほか、電源部にもしっかりとヒートシンクが触れる構造になっており、冷却面でも抜かりはない。
さらに同社の説明によると、電源部には最大50Aに対応するDr.MOSを採用するほか、パワーチョークは90Aまでサポートするという。コンデンサはニチコン製で製品寿命1万2000時間を誇り、より高い安定性と信頼性を実現しているとのことだ。そのほか、基板には2オンス厚の銅層を使用することで、オーバークロック時に温度を抑える効果が期待できるという。
補助電源コネクタは8ピンを1基のみ搭載するが、前述のとおり基板サイズがGPUクーラーよりもはるかに短いため、コネクタは基板の中央寄りの位置に実装されている。また、映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4が3つにHDMI 2.1が1つと、最近の製品では一般的な構成だ。