MSIのビデオカードに関しては、クロックアップを施したハエインド向けの「GAMING X」シリーズ、そしてそれに次ぐミドルレンジ向けの「MECH」シリーズをラインアップしている。MECHシリーズは、最高性能や最新機能などはGAMING Xシリーズに譲るものの、同シリーズで培われたノウハウが活かされ、価格を抑えながらも高機能を実現している。
今回紹介する「Radeon RX 6600 MECH 2X 8G」(以下、RX 6600 MECH 2X)も、製品名からもわかるとおり、MECHシリーズに属するモデルだ。GPUには、AMDのミドルレンジ向け「Radeon RX 6600」(以下、RX 6600)を採用し、コストパフォーマンスに優れている。では、このRX 6600 MECH 2Xの実力はどの程度なのだろうか。実際にいくつかのゲームをプレイして確かめてみたい。
動作クロックはリファレンス仕様
MSI Centerで4つのシナリオを選択可能
それでは、RX 6600 MECH 2Xの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6600 MECH 2Xのゲームクロックは2044MHz、ブーストクロックは2491MHzとリファレンスと同じだ。メモリークロックは14Gbpsと、こちらもリファレンスから変わりはない。つまり、RX 6600 MECH 2Xは、動作クロックに関してはリファレンス仕様のモデルというわけだ。
ただ、付属アプリケーションの「MSI Center」(Version 1.0.34.0)を用いることで、「Extreme Performance」「Balanced」「Silent」「Customize」の4つのユーザーシナリオが利用可能だ。工場出荷時設定はBalancedで、ブーストクロックがGPU-Z読みで2729MHzまで上昇した。
一方でゲームクロックが1714MHzまで低下したため、これらの表記が正確かどうかは少し疑問が残るが、同社のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.4 Beta 3)でも、ブーストクロックは2729MHzとなっているので、少なくともこちらに関しては正しそうだ。また、Silentは、こちらもGPU-Z読みだがブーストクロックは2491MHzのままだが、ゲームクロックが1595MHzまで低下しているのを確認した。
さらに、Customizeを選択すると、ブーストクロックを1MHz刻みで高めることができるほか、メモリークロックを8Mbps刻みで上げることが可能。ちなみに、どちらも限りなく上げることができたのだが、実用面ではあまり意味がないだろう。
そのほか、おなじみのAfterburnerを用いてもブーストクロックとメモリークロックを変更することが可能。前者は1MHz刻みで1325~2900MHzに、後者は8Mbps刻みで14.0~15.2Gbpsにそれぞれ設定できる。
カード長は実測で約232mm
TORX FAN 3.0仕様の独自ファンを採用
それでは、RX 6600 MECH 2Xのカードそのものを見ていこう。カードサイズは実測で約232mm(※突起部除く)だが、基板自体は約200mmほどと、GPUクーラーが張り出た格好だ。また、マザーボードに装着した際に、垂直方向に約17mmほど背が高くなっており、コンパクトなケースに搭載する場合は注意が必要だ。
GPUクーラーは、2.3スロット占有タイプで、100mm角相当のファンを2基搭載。これらのファンは「TORX FAN 3.0」仕様で、ブレードが1枚おきに2本の突起物が設けられた独特な形状をしている。MSIによると、一般的な形状のファンに比べて風圧が約50%増加し、これは同社の「TORX Fan 2.0」に比べても風圧が約15%向上しているという。
さらに、「ZERO FROZR」によってGPUの負荷が軽い場合は回転を停止させるなど、静音性の向上も図られている。なお、このZERO FROZRは、MSI Centerから無効に切り替えられ、常時ファンが回転するような設定も可能だ。
また、「クーラーブースト」を有効にすると、ファンが最大で回転し、GPUをより冷やしたいときに重宝する。ちなみに、MSI Centerはゲームごとのカスタムプロファイルが用意されているほか、画面設定のプロファイルを適用できるなど非常に多機能。ぜひとも活用したいアプリケーションだ。
カードを横から覗き込むと、6mm径のヒートパイプが2本用いられているのが確認できる。そのヒートパイプが、カード全体を覆う放熱フィンへとGPUの熱を伝える構造だ。また、GPUベースは、GPUコアだけでなくメモリーチップにも接している一方で、電源部には個別にヒートシンクが装着されている。
補助電源コネクターは8ピンを1基のみ搭載。このコネクターは、基板端の一段低い位置に実装されており、コネクターがケースに干渉しないよう工夫がなされている。また、映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4が3つに、HDMI 2.1が1つという構成。ブラケットの各コネクターに、DisplayPortかHDMIかのマーキングが施されている点は、細かなところだがうれしい配慮だ。