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AMD Ryzen 5周年記念!5社にその思い出やRyzenの進化&マザーボードの魅力を語って貰った

ジサトラハッチ 編集●ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

AMDのRyzen CPUは、2016年12月に発表されて以来、5周年を迎える。Ryzenシリーズは、マルチスレッド数と性能の割に価格が安く、コストパフォーマンスに優れるCPUとして一躍DIY市場で注目を集めた。モバイル向けCPU搭載ノートPC数も徐々に増やし、コストパフォーマンスの高さからシェア数もどんどん拡大している。

第1世代Ryzenは、初のZenコア搭載、DDR4対応のAM4プラットフォームを採用した初のCPUとして市場に投入され、2017年3月3日午前0時の深夜販売には、秋葉原に300人以上の人が集まる盛り上がりを見せた。

そのあと、2018年にプロセスルールが14LPP→12LPに微細化してレイテンシーが大幅に削減された第2世代Ryzenが発売。2019年発売の第3世代Ryzenでは、7nmプロセスを採用し、当時の競合CPUをシングルスレッド性能でも超えたことで、さらなる躍進を遂げた。

Ryzenシリーズ立ち上げから今日までAM4ソケットが採用され、CPUの互換性が長く続いていることも、DIYのし易さに寄与し、愛され続けている理由のひとつだろう。そんな、Ryzenの5周年を機に、今回マザーボードを販売する各PCパーツメーカー、代理店に話を聞き、この5年間を振り返って貰った。

Ryzenへの期待の高さからAMDマザーボードのラインアップが増加!?

最初にハイエンドゲームユーザー向けのROGシリーズやコスパの高いTUF GAMINGシリーズ、近頃はクリエイター向けのProArtシリーズなども展開するASUSのSales Marketing Managerの市川彰吾氏(以下、敬称略)に話を伺った。

編集部 では、さっそくですがRyzen 5周年を振り返っていかがですか?

市川 Ryzen 5周年おめでとうございます。そうですね、出た当初はAM4になり、久々にPCを組む楽しさがあったな、と記憶しています。2133だと動くのに、上にすると2枚までしか動かなくて、驚いたなどがありましたね。

編集部 第1世代の頃はメモリーモジュールによってアクセス速度が変わる仕様で、シングルランクかデュアルランクかによってアクセス速度は規定されていましたね。

市川 あのくらいの時期じゃないですかねランクって言葉が認知され始めたのは。

編集部 そうかもしれませんね。御社的に変わったな、と思うことはありますか?

市川 Ryzen登場以前のASUSはインテルのマザーボードに強いメーカー、というイメージがあったかと思うのですが、AMDマザーボードが増えました。下から上まで全チップのマザーボードが発売されていて、松竹梅と価格帯の幅も広くなっています。

編集部 それはやはりRyzenへの期待感があったからということでしょうか。

市川 たぶん、そうだと思います。

編集部 このシリーズが売れたなぁ~というシリーズはどちらになりますか?

市川 B550のSTRIXシリーズが一番売れていますね。鉄板というほど売れています。

編集部 私が以前、AMDの佐藤さんと一緒に秋葉原の店舗さんにお邪魔する「さと散歩」という企画では、毎回店舗の方が「TUF B450-PLUS GAMING」を持って来られたのが印象的でしたね。

「TUF B450-PLUS GAMING」は、さと散歩で店舗に伺った2020年当時は、コスパの高さで人気が高かったAMD「Ryzen 5 3500」と一緒に売れていた

市川 RyzenはインテルCPUよりもコア数が多くて、価格が安かったので、コスパで組みたい人にはTUF GAMINGは良い選択肢だったと思います。TUF GAMINGの認知度を上げてくれたのは、Ryzen CPUのお陰というところはありましたね。それでも、STRIXシリーズの方が売れていますね。

編集部 AMDチップセットマザーボードで、ユーザーの要望に応えられた製品、機能などはありますか?

市川 日本では12月に発売予定の「ProArt X570-CREATOR WIFI」に搭載したThunderbolt 4でしょうか。前回もお話ししましたが、何故か日本市場からの要望が多いんですよね。

同社のイチオシの「ProArt X570-CREATOR WIFI」は、今月末発売予定のクリエイター向けモデル。競合のThunderbolt搭載のマザーボードは映像信号をCPUから取る。しかし、本製品はGPU性能を求められるため、ビデオカードのDisplayPort出力からマザーボードのDisplayPort入力に映像信号を流し、Thunderbolt 4(USB Type-C)から出力できる特徴を持つ

編集部 ディスプレーや外付けストレージなどを接続するのでしょうが、それほど対応製品が多くないように思えますが。

市川 ワコムのペンタブレット需要があるようです。ワコムのペンタブレットは、給電と接続がケーブル1本で同時に行なえるみたいです。

ワコムの公式サイトから抜粋。ペンタブレットは、HDMIやUSBで接続するよりも、Thunderbolt(USB Type-C)で接続した方が、ケーブル1本で接続でき、USB相性問題に悩まされないとユーザーの間では望まれているようだ

編集部 では今後AMDさんに期待することは何かありますか?

市川 DDR5に対応し、さらにコア数を上げてくるのか、と今から楽しみです。我々はボードベンダーなので、チップセットの上下は問わず、あとから投入されたチップセットのマザーボードに新機能を盛り込んでいます。AMDのCPUは、今の競合CPUを凌駕する性能で出てくると思うので、マザーボードも競合製品に搭載された機能も全部盛り込んだ製品が出せるものとして楽しみです。

編集部 今後の新製品にも期待しています。本日はありがとうございました!

TOMAHAWKの認知度が向上!Ryzen登場でマザーの売り上げも右肩上がり

ゲーミング3シリーズに加え、クリエイター向けモデルも展開するMSI。AMDのドライバーが不安定だった際も動作したとしてTOMAHAWKシリーズが一躍脚光を浴びたことを覚えているDIYユーザーもいることだろう。そんなエムエスアイコンピュータージャパンの新宅洪一氏(以下、敬称略)に話を伺った。

編集部 本日はよろしくお願い致します。さて、Ryzenが今年で5周年となりますが、振り返っていかがですか?

新宅 Ryzenが登場するまでは競合CPUの方が強くて、なかなかAMD CPUが売れない、という状況でした。しかし、第1世代Ryzenが登場してからは、メインとして選択肢に入るようになったのは、素直にAMDスゴイなと思いましたね。
また、昔だったらなかなか売れないからプラットフォームを変える、ということが多かったですが、AM4プラットフォームがここまで長く使われてユーザーフレンドリーだったのもスゴイですね。

編集部 確かにソケットが同じものを使えるというのは、自作ユーザーにとっては汎用性があって嬉しいですよね。

新宅 コア数がどんどん増えたというのも特筆すべき点ですね。

編集部 Ryzen CPUが出たことで、ユーザーからの問い合わせが増えたことは何かありますか?

新宅 問い合わせ件数はとても増えましたね。特にTOMAHAWKシリーズが一気に定番化しましたね。あとはGAMING PLUSのコスパの良さが認知されたかな、と思います。

同社イチオシの「MAG X570S TOMAHAWK MAX WIFI」は、X570のリフレッシュモデル。ヒートシンクがファンレス化。PCI Express x16スロットが2本、PCI Express x1スロットが2本と拡張性も高く、2基のM.2スロットはいずれもヒートシンク付き。2.5GbE+Wi-Fi 6対応と隙がないうえに、性能の割に3万円を切るコスパの高い製品となっている

「MPG B550 GAMING PLUS」は、1万円台前半と安価ながらGen 4対応のM.2スロットにはヒートシンクを搭載。Gen 4対応のPCI Express x16スロットも補強され、ゲームユーザーが必要とする最低限の機能を備え、無駄をそぎ落としたマザーボードに仕上がっている

編集部 最も売れた製品はTOMAHAWKなのでしょうか?

新宅 最も売れているのはGAMING PLUSシリーズですね。あとは、X570からのUNIFYシリーズも一躍大人気になりましたね。

編集部 Ryzenが発売されてから、マザーボードの売り上げも上がったのでしょうか?

新宅 右肩上がりですね。お陰様でシェアも伸ばすことができ、皆様にMSIの良さを知ってもらうことができました。

編集部 Ryzen Threadripper用のマザーボードはいかがですか?

新宅 シンプルなモデルが売れていますね。PROシリーズは人気が高いです。

編集部 ユーザーの要望に対して、どう応えてきたのでしょうか。

新宅 Ryzen CPUは競合のCPUよりもコスパで選ぶ人が多かったと思うんですよ。そのため、電源回路を豪華にしたけれど、金額は据え置きにはできたかな、と思います。あとは、使える機能を突き詰めていき、シンプルにしていきました。UNIFYシリーズでいえば、性能に関係ないLED機能などは排除して、電源回路を強化してハイエンドなCPUも搭載できるようにしたりと、割り切って洗練させられたかな、と思います。

編集部 今後のRyzenに何を期待しますか?

新宅 隙のなさはブレないで貰いたいですね。CPUの性能、コスパの良さを突き詰めて、突っ走って貰い、どんどん競合と競い合って欲しいですね。

Ryzenで受けたインパクトそのままに派手な演説を実行。AMDマザーボードのシェアは爆上がり!?

GIGABYTEはAORUS Gamingシリーズを筆頭に数多くのゲーミングモデルを市場に投入しながら、VISION DやAERO Gといった見た目にもインパクトのあるクリエイターモデル、多機能なMini-ITXマザーボードで人気を博している。そんなGIGABYTEの渡辺隆之氏(以下、敬称略)に話を伺った。

渡辺 Ryzen 5周年おめでとうございます!

編集部 5周年早かったですね。さて、そんな5周年を振り返っていかがでしょうか?

渡辺 思い出というと、弊社が最初のRyzen対応マザーボードの発表会をした際に、当時の営業であるマックス(Max Yang氏)が、派手に演説を行ないました。いろんなメディアで取り上げられましたが、我々もそうした演説を行なってしまうようなインパクトを受けていました。そこから、AMDマザーボードシェアが伸びたので、反撃の狼煙としてよかったな、と思いますね。
あと、ハイエンドだけでなくB450やB550と、コスパの良いマザーボードが売れているので、コアユーザーだけでなく、ライトなユーザーにも普及したんだな、と実感しています。

編集部 AMDチップセットでこういったところが良かったなぁ~、と思っていることは何かありますか?

渡辺 ソケットがずっと同じなので、BIOSを更新すれば新しいCPUが使えたというのは良かったですね。メーカー独自の判断で、前のCPUにも対応できるのも、ユーザーの選択肢の幅を広げたなと思います。

編集部 AMDマザーボードで、今後どういった製品を出していかれる予定がありますか?

渡辺 確定ではありませんが、クリエイター向けのモデルを充実していきたいと思っています。Thunderbolt搭載にも力を入れていきます。

クリエイター向けの「X570S AERO G」は、GIGABYTE VisionLINKにより、USB Type-Cケーブル1本でディスプレー出力、電源供給が行なえる。マルチグラフィックスや、4つのPCIe M.2ソケットを備えるなど、ハイエンドなクリエイターも困らない機能を網羅している。また、白を基調とした見た目にも美しいマザーボードだ

編集部 Thunderboltはワコムさんのペンタブレットで使われているのでは、という話がASUSさんからも出ましたが、御社ではいかがですか?

渡辺 パススルー機能に対応している製品は、ワコムさんの製品が動作する設計にはなっています。ただ、認定制度を取っているということではないので、確実に動作保証する訳ではないですが。

編集部 いろいろ今まで販売されていますが、AMDマザーボードのイチオシといえばコレというとどの製品になりますか?

渡辺 弊社はハイエンドなMini-ITXマザーボードが好きなので、「B550I AORUS PRO AX」がイチオシですね。B550ながら裏と表でM.2 SSDが搭載でき、ヒートパイプを搭載して高い冷却性能も確保しています。

「B550I AORUS PRO AX」は、Mini-ITXのB550ながらヒートシンク付きのM.2(PCIe 4.0)と、裏面にもM.2(PCIe 3.0)スロットを搭載。2.5GbEにWi-Fi 6も備え、HDMI×2&DisplayPortにより3画面出力も可能と、小型ながら充実した機能を備える

VRMヒートシンクとチップセットヒートシンクはヒートパイプによって結ばれていて、高い冷却性能も有している唯一無二のMini-ITXマザーボードだ

編集部 この製品が最も売れたなぁ~という製品はどのモデルになりますでしょうか。

渡辺 第1世代Ryzenの頃はあまり売れていなくて、第2世代頃から徐々に売れ始め、第3世代になってからELITEなどの売れ筋製品が増えてきた印象です。なので、今が一番売れていますね。それこそ、ご紹介した「B550I AORUS PRO AX」が値段の割にスペックが良く、飛ぶように売れています。

編集部 今後のRyzenに期待することは何かありますでしょうか。

渡辺 競合のCPUに勝って欲しいですね。競合の最新CPUはWindows 11に特化している感じもするので、AMDさんにはWindows 10での安定性を持ったまま、Windows 11でのパフォーマンスアップも目指して欲しいですね。

Ryzenの登場により、BIOSTARの認知度が向上

古くから自作ユーザーに愛されてきた老舗のPCパーツメーカーであるBIOSTAR。Ryzenが登場するまでは、日本での供給量が少なく知る人ぞ知るというメーカーだったが、Ryzen登場以降は定期的に製品を市場に投入。そのコストパフォーマンスの高さから再注目され、シェアを伸ばしている。そんなBIOSTARを取り扱う代理店であるアユートの日野孝祐氏と、森田健介氏(以下、敬称略)にもオンラインでお話を伺った。

アユートはBIOSTARの正規代理店として、マザーボードのみならずビデオカードなども扱っている

編集部 本日はよろしくお願い致します。さっそくですが、Ryzen 5周年を振り返って、Ryzenのイメージは変わりましたか?

日野 まずは、Ryzen 5周年おめでとうございます。Ryzen以前のAMDさんのCPUは、AMDが好きだから使うという方が多かったと思うのですが、Ryzen登場以降は皆がAMDを使っているからAMDを使うなど、入口がかなり広がった。そのきっかけとなった大きな革命だな、という印象です。

森田 Ryzenが登場する以前、A10の頃は少し出していたかもしれませんが、BIOSTARもそれほどマザーボードを提供しておらず、BIOSTARの知名度も高くなかったと思います。Ryzen登場時は、それほど他社のマザーボードもないなか、BIOSTARがX370マザーボードを市場に投入したことで、知名度も広がったところはあります。
そのあと、32bit PCIスロットが付いているいうことで、X470GTAがチューナーカードを挿して使う、一部のユーザーに売れた覚えがありますね。

「X470GTA」は、32bit PCIスロットを2基備えたATXマザーボード。発売当時すでにAM4でPCIスロットを持つマザーボードの選択肢がなく、TVチューナーを使う一部のユーザーが買い求めた

森田 そうした経緯もあり、X570やB550といった今のチップセットになっても、BIOSTARという選択肢が上がるようになりました。

編集部 今後AMDマザーボードで、どういった製品を出す予定がありますでしょうか。

日野 競合チップセットですでに展開しているVALKYRIEという最上位のシリーズを、AMDチップセットでも投入していく予定があります。オーバークロッカーやゲーマー向けに電源周りを強化したシリーズになります。SNSでユーザーからご要望頂いていたものなので、ご期待頂ければと思います。

森田 私としては時代のニーズに即した製品は作って欲しいと思っています。競合はDDR5だったり、より高速なモノに対応してきているので、AMD側もそれに対抗する最新機器に対応したものが必要になってくるでしょう。ただ、その分コストが上がるので、そうしたハイエンドな製品を出しつつも、コストパフォーマンスに優れた製品も出して欲しいかなぁ、と思います。

編集部 今のイチオシ製品はどちらになりますか?

日野 改めて訴求したい製品というと、Mini-ITXの「B550T-SILVER」ですね。Mini-ITXではありますが、各部しっかり作り込まれていて、ハイエンドなRyzen CPUにも対応。ホームシアター用のミニPCなどに最適なマザーボードです。

「B550T-SILVER」は、発熱量を低減するDr.Mosチップを採用した8フューズ電源回路を採用。安定した電力供給も可能にする「Digital PWM」コントローラーも搭載。2.5GbEも備え、Wi-Fiカードとアンテナを用意すれば、Wi-Fi 6にも対応。4K出力が可能なHDMI 2.1とDisplayPortも搭載する

編集部 今後のRyzenに期待することは、何かありますでしょうか。

日野 競合に肉薄したのは、コストパフォーマンスだと思っているので、その姿勢は崩さないで進化していって欲しいです。来年はプラットフォームがAM5になっていく予定ですが、互換性というのもAMDの強みだと思うので、冷却クーラーの互換などの維持はしていって欲しいですね。

編集部 森田さんはいかがですか?

森田 光るパーツが増えてきているので、そろそろCPU本体も光らせるしかないんじゃないですかね(笑)。車体の下をLEDで光らせる車とかあるじゃないですか、クーラーの下から光が漏れてくるみたいな。

編集部 その発想はなかったですね。ぜひ、AMDさんに実現して貰いましょう(笑)。

森田 最近はパフォーマンスばかり求められますが、競合CPUのように爆熱な製品ばかりではなく、65Wとかで抑えられる消費電力が低いCPUも出して欲しいですね。Ryzen PROではGEが付く省電力なラインアップはありますが、一部の組み込みにしか提供されていないので、ファンレスとか作りたいユーザー向けの製品も出して貰いたいです。

AMDの協力により、BIOSアップデートでCPUやメモリーのサポートを増やせた

ハイエンドなゲーマー向けからオーバークロック用の高耐久モデルだけでなく、近年は必要な機能を備えながらもコスパに優れたSteel Legendシリーズも好評なASRock。機能が尖った製品から、コスパの高いモデルまで幅広く扱う、そんなASRockの原口有司氏(以下、敬称略)にお話しを伺った。

編集部 Ryzen 5周年を振り返って、最初の印象などはいかがでしたか?

原口 Ryzen 5周年おめでとうございます。そうですね、Ryzenが登場するまでは、Bulldozer※のイメージがずっとあったので、人間が手を入れて作ったCPUということで、興味はありましたね。
※AMD FXに採用されたCPUコアのコードネーム。この頃のAMD CPUは、性能に直結するさまざまな部分において、人の手で設計するのではなく、自動ツールに頼っていて、思うように性能が揮わなかった

原口 Bulldozer時代のCPUを使っていると聞くと、珍しいCPUを使っているんだなぁ~というイメージでしたが、Ryzenという名前は、日本人に馴染みのある単語なのか、なんかスッと入ってきたなぁ~という印象があります。Ryzen 7 1700Xとかは、とてつもなく売れたイメージがありますし、コストパフォーマンスは良いんじゃない、と思っていました。BIOSのアップデートも小まめにあったので、それも含めて自作感のある製品が戻ってきたなぁ~と。
当時から競合のCPUはオーバークロックもメーカー側で自動で行なってしまうなか、Ryzenは自分でチューニングし甲斐のある、ちょっと玄人感のあるPCパーツがDIY市場に帰って来てくれた。イイ意味で遊び心のある、凄いCPUが出て来たぞ、と思った覚えがあります。

編集部 この5年の間で、ユーザーさんからAMDマザーボードに関して、どんな要望があったなど、何か思い出はありますか?

原口 B450のSteel Legendが出る前に、こういうマザーボードを出して欲しい、という意見をいろいろ取りまとめたりとか。機能を取捨選択してできたのがSteel Legendなのですが、AMDさんがAGESAのアップデートを細かく実行してくれたので、B450 Steel Legendのような面白いマザーボードが生まれてきました。
BIOSのアップデートによって、B450マザーボードで第3世代や第4世代のRyzenの他、DDR4の3200MHzにネイティブ対応と謳えたのは、弊社以外にはあまりないです。それは、ユーザーさんの意見を聞いて、AMDさんと一緒にAGESAサポートをカスタマイズして実現できたので、それは良かったな、と思います。

「B450 Steel Legend」は、2019年に発売されたマザーボード。プレミアム 60A パワーチョークや大型のM.2ヒートシンクを備えるなど、高コスパながら電圧強化、冷却性能に優れ人気を博した。アップデートにより、現行の第4世代Ryzenにも対応する

編集部 AMDマザーボードで、これはイチオシという製品はどれになりますか?

原口 12月10日に発売したばかりの「X570S PG Riptide」ですね。この製品は、勝ちにこだわるeスポーツゲーマーさん向けのマザーボードです。安心して長時間プレイできる高耐久設計で、本気でゲームを楽しみたい人にオススメです。Riptideシリーズは、ゲームユーザーが本当に必要なモノを搭載しながら、できるだけリーズナブルにというコンセプトで出したマザーボードです。ゲーミングマザーボードは高いイメージがあるので、それを払しょくしたかったのと、ド派手に光る=ゲーミングマザーではなくて、シックなデザインだけど、本気で勝ちを狙える製品になっています。

「X570S PG Riptide」は、USBマウスとキーボードを別々のコントローラーを経由して接続し、混信のないスムーズな通信を実現する同社独自の「ライトニングゲーミングポート」を搭載。強化スチールスロットやグラフィックカードホルダー、2.5GbEのKiller LANを備えるなど、落ち着いたデザインながらゲームユーザーが満足のいく確かな性能を持つマザーボードに仕上がっている

編集部 今後のRyzenには、どう進化して欲しいですか?

原口 やっぱり、もっとコア数が欲しいですね。メインストリームもRyzen Threadripperも、もっとコアを上げて欲しいですし、レーン数も増やして欲しいです。IPC効率も重要だとは思いますが、ソフトウェアのマルチスレッド対応も進化しているのでMore Power More Powerですね。

編集部 実際にコア数がもっとあれば、と思うことがあるのですか?

原口 最近、趣味でカメラを扱うことが増えているのですが、RAW現像は時間がかかるので、コア数が多いほどより早くなるので、コア数は増やせるだけ増やして欲しいですね。PCゲームをプレイしている場合でも、1コア、2コアはゲームに割り振って、配信など別の作業を他のコアで実行すれば、フレームレートを安定化しながら、よりクリエイティブな使い方に導いてくれるので、コア数の多さは重要ですね。心の余裕にも繋がると思いますね。

Ryzenのステップアップに期待大、互換性とコスパの製品ラインアップにも注目

今回、各メーカーにお話しを伺ってみたところ、やはりAMD Ryzenについては、発売当初からその進化に驚き、市場も盛り上がり、AMD CPUの認知拡大と共にマザーボードの売り上げが伸びていることが分かる。AM4マザーボードは、Ryzen CPUの進化と共に各社、自社の強みを出してきており、ゲーミングモデルや小型PC用のMini-ITX、近年ではクリエイティブ向けの製品ラインアップが増えて来ている印象だ。

今後のRyzenへの期待は、コア数の増大、さらなる性能向上はもちろんのこと、新しいAM5プラットフォームになっても冷却クーラーの互換性の維持といった、ユーザーフレンドリーな姿勢を示して欲しいといった声も多かった。競合は半導体不足のなか、先にDDR5対応など、次世代規格に対応しているが、一部のユーザーにしかフルパフォーマンスを活かせる環境が届けられていない。AMDがどのタイミングで次世代規格に踏み切るかも含め、今後も注目していきたい。

(提供:日本AMD)


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