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グラボが搭載可能な小型ベアボーン「DeskMeet」にRadeon RX 6400を入れて実力をチェック!(1/2)

文●宮里啓介 編集●AMD HEROES編集部

 AMDのRyzenが搭載可能な小型ベアボーンといえば、ASRockの「DeskMini」シリーズを思い浮かべる人が多いだろう。フォームファクターにMini-STXを採用し、容量わずか1.92リットル。それでいてTDP 65WのデスクトップCPUを搭載できたことから、人気となったシリーズだ。このシリーズを少し振り返ってみよう。

 2019年2月に発売された「DeskMini A300」は、多コアで高性能なRyzenシリーズが搭載できるとあって人気に火が付き、自作PC向けだけでなく、BTOパソコンのベースとしても広く採用されるようになったモデル。当初搭載できたCPUは4コア/8スレッドのRyzen 5 2400Gまでだったが、後にRyzen 5 3400Gが登場すると、これにも対応した。

 2020年10月には、後継モデルとなる「DeskMini X300」が登場。Zen 2を採用するRenoir世代のAPU、しかも8コア/16スレッドのRyzen 7 PRO 4750Gが搭載でき、さらなる高性能化が可能になったのが強みだ。もちろん、その後登場したZen 3採用のCezanne世代APU(Ryzen 7 5700Gなど)にも対応し、今でも人気のあるモデルとなっている。

 今回紹介する「DeskMeet X300」は、このDeskMini X300の拡張版ともいえるモデルだ。

DeskMiniと比べサイズは大きくなったが、拡張性が大幅にアップ。それでも一般的なPCと比べると、かなりコンパクトだ

「DeskMeet X300」の主なスペック
対応CPU AMD「Ryzen 2000/3000/4000G/5000/5000G」(AM4、最大65W)
対応CPUクーラー 高さ最大54mm
対応メモリー DDR4-3200×4(最大128GB)
拡張スロット PCIe 3.0 x16、Ultra M.2(PCIe Gen 3 x4)、SATA3×2、M.2(Key-E)
インターフェース USB 3.2 Gen1(Type-C)、USB 3.2 Gen 1×4(Type-A)、USB 2.0×4(Type-A)
電源ユニット 500W(80PLUS Bronze)

電源内蔵&ビデオカード搭載可能になってもこのサイズ!

 DeskMiniのサイズは幅80×奥行き155×高さ155mmで、DeskMeetのサイズは幅168×奥行き219.3×高さ218.3mm。数値で比較すると、幅が2倍以上、奥行きと高さは1.4倍以上となっており、体積は約4倍とかなり巨大化している。

 それもそのはず。マザーボードはMini-STXではなく、Mini-ITXを拡張したものへと変更されているからだ。PCI Express×16スロットを搭載しているのはMini-ITXと同じだが、通常よりも奥行きが長くなっているのが特徴。どんなマザーボードなのかは、写真を見てもらうのが早い。

幅(写真では縦)はMini- ITXと同じ170mmだが、奥行き(写真では横)が長くなっている

 サイズが大きくなっているぶん余裕があり、メモリースロットがノートPCなどで使われるSO-DIMM×2本から、一般的なDIMM×4本へと拡張。また、SATAも小型コネクターではなく通常サイズになっており、より使いやすくなった。

 なお、M.2スロットはSSD用とWi-Fi用の2つのみ。DeskMini X300ではマザーボードの裏面にもSSD用のM.2スロットが用意されていたが、DeskMeet X300では、そういった特殊な位置のM.2スロットはない。

 マザーボードの大きな変更点として、電源がACアダプターではなく、通常のATX電源になったことを挙げたい。この変更は、ビデオカードに対応するため大容量電源が必要になり、ACアダプターでは電源容量が厳しくなったという現実的な問題によるものだろう。しかしそれ以上に、ケーブルの取り回しでジャマになりがちなACアダプターが不要になるというのがうれしい。

 電源を内蔵することで大型化するなら、ACアダプターを使って小さくした方がいい、という意見も分かるし、賛否両論あると思うが、個人的には電源の内蔵化は大歓迎だ。

80PLUS Bronzeの500W電源が付属。コネクターはATX、CPUのほか、ビデオカード用のPCIe、SATA×2と必要十分

 続いて拡張スロット部分を見てみよう。ビデオカードの厚みは2スロットぶん、奥行きは約200mmまでに対応。ミドルクラス以上の大型製品はまず搭載が難しいため、エントリークラスのビデオカード用と考えた方がいい。

2スロットぶんの厚みまで対応可能な拡張スロット。奥行きは約200mmとなり、大型のカードは入らない

 試しにRadeon RX 6400を採用するASRockの「Radeon RX 6400 Challenger ITX D 4G」を挿してみたところ、ボード全長が約162mmということもあって、無理なく収まってくれた。

 拡張スロットのすぐ横は大きくくり抜かれており、ケース外装部もパンチ穴が開いている。ビデオカードへ冷たい外気を送れるよう、熱対策がよく考えられたレイアウトとなっている。

エントリークラスのビデオカード「Radeon RX 6400 Challenger ITX D 4G」なら、余裕をもって搭載可能。補助電源が不要なので、ケーブルの取り回しも楽だ

ちなみにビデオカードの固定は、ブラケット部分を押さえで仮止めしてからネジ止めするという方式。組み立てやすい

 ケースの大型化に伴い、ストレージもより増設しやすく進化している。大きく変わったのが、3.5インチHDDが搭載できるようになったことだろう。DeskMiniでは2.5インチまでだったので、より大容量のHDDが気軽に搭載できるようになった。

3.5インチHDDは、ケースフロント部の裏側に固定可能。この位置に2.5インチストレージ×2を固定することもできる

 さらにうれしいのが、ビデオカードなどの拡張ボードは使えなくなるものの、拡張スロット部にも3.5インチHDDが搭載可能だという点だ。

Mini-ITXベースの小さなボディなのに、3.5インチHDDが2台入るというのはユニーク。ファイルサーバーとして考えている人に朗報だ

 ちなみに、この拡張スロット部は他のパーツの搭載にも利用できる。ケースファンはもちろんのこと、水冷クーラーのラジエーターまで装着できるというのが驚きだ。

 これだけ拡張性があり、電源も内蔵となっているにもかかわらず、サイズは幅168×奥行き219.3×高さ218.3mmとコンパクト。確かにDeskMiniと比べれば大きくなっているが、この拡張性を考慮すれば驚くほど小さいといっていいだろう。

 なお、組み立ててみると分かるが、内部はあまり余裕がない。例えばCPUにRyzen 7 5700Gを選び、付属のリテールCPUクーラー「Wraith Stealth」を搭載してみると、電源部との隙間はかなり狭くなる。

CPUクーラーのファンと電源との隙間は1cmもないくらい。余裕は少ない

 これだけ狭いとCPUクーラーのファンがうまく風をヒートシンクに送り込めないのではないかと思ってしまうが、実はこの電源、ファンの向きが逆。つまり、背面から吸気し、内部へと風を送り込むタイプとなっている。CPUクーラーと風向きがそろうため、見た目ほどこの隙間の狭さは影響しない。

 拡張性という面では、インターフェースにも触れておこう。DeskMiniではサイズ制限からUSBの数がかなり絞られてしまっていたが、DeskMeetは本体サイズが大きくなったこともあり、かなり充実している。

フロントは、ヘッドセット端子、USB3.2 Gen1×3(うち、1つがType-C)、USB2.0×2。USBだけでも5ポートある

リアは、DisplayPort、アナログRGB、HDMI、USB3.2 Gen1×2、USB2.0×2、ギガビットLAN、音声出力。やはりUSBが充実している

 USBだけでも合計9ポートあり、これだけあれば、ハブを使わず多くの周辺機器が接続できる。

 ちなみにWi-Fiは非対応。オプションでM.2用のカードとアンテナが用意されているので、Wi-Fiを使いたい場合はこれらを利用するといいだろう。

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