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「Ryzen 7 6800H」対「Core i7-12700H」を同スペックのノートでガチ対決したら意外なベンチ結果が出現!?(4/6)

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

最新のH.265のエンコードはRyzen 6000 シリーズの方が高速!

 ではここからクリエイティブ系のアプリを利用したパフォーマンス比較に入ろう。

 まずは動画エンコード性能として「Media Encoder 2022」を利用する。「Premier Pro 2022」を利用して編集した4K動画(再生時間約3分)をMedia Encoder 2022でMP4形式の動画に書き出させる時間を比較する。エンコード方式はソフトウェア、VBR 50Mbps、1パスとし、コーデックはH.264とH.265の2通りとした。

「Media Encoder 2022」のエンコード時間

 GPU性能が効くH.264のエンコードではFX507ZMの方がわずかに速いが、H.265ではFA507RMの方が1分近く速いという結果になった。CINEBENCH R23でFA507RMのスコアーが伸びなかったのはCore i7-12700Hよりコア数が少ないからだという結論だったが、Media Encoder 2022を使ったこのテストではコア数の少ないRyzen 7 6800Hで良い結果を出せている。動画エンコードといえばCPUのコア数勝負の側面があるが、少ないコア数で高速に処理できるRyzen 6000 シリーズのポテンシャルの高さが垣間見えたと言えるだろう。

 同じ動画エンコード系として今度は「HandBrake」でも試してみよう。4K@60fpsの動画(再生時間約3分)をHandBrakeでフルHD@30fpsのMP4またはMKV形式に書き出す時間を比較する。エンコードの設定はプリセットのHandBrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”および“H.265 MKV 1080p30”をそのまま使用した。

「HandBrake」によるエンコード時間

 このテストではGPUによるエンコード速度への影響はほぼない。H.264ではFX507ZMが速いのはコア数の多さと考えられるが、H.265ではFA507RMがわずかに高速なのはCPUコア数以外の部分が関係していそうだ。だがこの結果だけでは断定するだけの材料はない。

 続いては「After Effects 2022」でのテストだ。再生時間10秒の4K@59.95fps動画に対しAfter Effects 2022で「3Dカメラトラッキング」で分析する時間を比較する。

「After Effects 2022」の処理時間

 この処理ではFX507ZMがFA507RMよりも1分以上差を付けている。ここまでの検証で観測されたように、互角のハードウェア構成を備えたノートPCでは、CPUとアプリの組み合わせで優劣は簡単にひっくり返るのだ。

「Lightroom Classic」はUL Procyonで使っていたが、ここでは筆者がいつも使っているやり方でも検証してみたい。調整済みのDNG画像(61メガピクセル)100枚を用意し、最高画質のJPEGに書き出す時間を計測するが、その際書き出しのウインドウでシャープネス処理(スクリーン用、適用量標準)を追加している。

「Lightroom Classic」によるDNG→JPEG書き出し時時間

 このテストはCPUの全コアを使うためある程度コア数が多い方が有利になるが、結果は逆にコア数の少ないFA507RMの方が圧倒的に速い。筆者の経験では、このテストではデスクトップ向けのRyzen対第12世代Coreの対決ではDDR5メモリーを使う第12世代CoreがRyzenを圧倒していることが分かっている。

 だが今回はメモリーが同一仕様であるためCPUのパワー差が出たということになる。ただCINEBENCH R23やV-Rayと正反対の結果であることを考えると、単なるCPUのパワーだけでは片付けられないといえる(この辺は後ほど別角度から検証しよう)。

AIの処理の差はほぼ変わらない

 続いてはTopaz LabのAIを使った処理速度を検証してみたい。まずは「Video Enhance AI」を使ってみよう。再生時間5秒の4K@59.95fps動画に対し、プリセットの「400% Slow-Motion」処理でフレームレートを保ちつつ20秒のスローモーション動画を生成する時間を比較する。検証にあたっては初回にだけ発生する各種データ読み込み待ち時間は計測結果から排除している。

「Video Enhance AI」における400% Slow-Motion処理時間

 この処理ではCPUの他にGPUパワーも使われる。ところが今回同じGPUを搭載した製品で比較しているので、性能の差はCPUパワーの差といえる。ここではFX507ZMがややFA507RMより高速であるという結果が得られた。

 続いては「GigaPixel AI」を使った超解像処理時間を比較しよう。1920×1434ドットの写真をGigaPixel AIで600%拡大処理する時間を比較する。学習モデルは“Very Compressed”を使用した。処理はすぐ終わるので5回計測し、中央の3回の平均値で比較している。

「GigaPixel AI」による600%拡大処理時間

 強いていえばFX507ZMの方が短時間で処理を終えている。写真1枚に対する処理時間で比較しているためこうなったが、1枚に対し1秒も差が出ないことを考えると、この検証では両者の差はほぼないと言ってよいだろう。

 最後は「Denoise AI」だ。ISO不足で撮影したため激しくノイズの乗ったJPEGファイル(24メガピクセル)をDenoise AIに読み込ませ、AIの力でノイズ除去を試みる。学習モデルは“Severe Noise”を選択した。こちらもGigaPixel AIと同じ基準で結果を算出している。

「Denoise AI」によるノイズ除去処理時間

 ここではGigaPixel AIより差が小さく、差異があるとは言いがたい結果となった。

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