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モンハンライズは画質設定次第では60fps以上で動作!
最後に実ゲームをプレイ中のフレームレートを計測した結果を見ていきたい。最初は定番のFPSゲームで根強い人気の「Apex Legends」から。設定はデフォルト、解像度はHDまたはフルHD、垂直同期はオフにしている。アスペクト比がAYANEO NEXTが16:10、ONEXPLAYER miniが16:9とややAYANEO NEXTの方が高いが、細かく設定できるゲームとできないゲーム(または一部無理やりアスペクト比を変更したら表示できないものもあった)があるので、誤差範囲と考えて表記は「HD」「フルHD」で統一する。
また、AYANEO NEXTは解像度がHDまでなので、ONEXPLAYER miniの標準解像度と比較するために、フルHD以上の計測時は、GIGABYTEの4Kディスプレー「M28U」にUSB Type-C出力して計測している(つまり、16:10になっているのはAYANEO NEXTのHD画質のみ)。フレームレートはCapFrameXで計測し、平均のみ表記する。
基本ベンチマークの結果通り、AYANEO NEXTの方がやや高いフレームレートを示している。特にフルHDになると、4fps以上の差となっている。とはいえ、どちらもHD画質でやっとプレイできる程度。AYANEO NEXTは最小フレームレートもHD画質なら33fpsを超えているので、カジュアルに遊ぶ分には申し分ないが、快適にプレイするにはやはり少し物足りない。
次に名作RPG『幻想水滸伝』のクリエイターたちが開発したと話題になった横スクロールアクションの『百英雄伝 Rising』で計測。画質は「高」設定で、解像度をWQHDからHDまでの3段階で変えて「大森林」にて計測した。
『百英雄伝 Rising』は、街中だと10fpsほど軽くなるが、戦闘が行なわれるエリアに行くと、途端に重くなる。2D横スクロールなので軽いと思っていたが、細かな描写でやや重く、AYANEO NEXTのHD画質でようやく40fpsを超える程度。このHD画質での最小値は30fpsになる。アクションゲームは、それほど高いフレームレートを必要としないし、ソロプレイのゲームなのでHD画質であればそこそこ快適に遊べるといったところだ。
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6月30日に拡張パック『モンスターハンターライズ:サンブレイク』が登場して今注目の『モンスターハンターライズ』でもフレームレートを計測。画質設定は「中」にして、それぞれの解像度ごとにフレームレートを計測した。
『モンスターハンターライズ』のフレームレートは、なぜか解像度がHDの時のみ、ONEXPLAYER miniの方がAYANEO NEXTよりも高いスコアーになった。平均だけでなく、最大も最小値も同じくONEXPLAYER miniの方が高い。1フレームの描画にどれだけ時間がかかったかが分かる「フレームタイム」を見ると、AYANEO NEXTの方は揺れが少なく、安定してフレームレートが出力されているのに対して、ONEXPLAYER miniの方はかなり揺れている。
もう少し検証回数を実施すれば、試用機の個体差の問題かが分かったかもしれないが、現状は良く分からない。時々ファンが高速に回転する時があったので、パワーに余裕がある時は、CPUやGPUをぶん回す仕様なのかもしれない。
余談だが、『モンスターハンターライズ』は解像度よりもゲーム内の画質設定の方が、フレームレートの影響は大きい。画質「高」設定にした場合のHD解像度の平均フレームレートは、AYANEO NEXTで37fpsと画質「中」設定時から38fpsも下回った。では、画質によってどれぐらい見え方が変わるのだろうか。解像度をWQHD(2560×1440ドット)にして、画質を変えて同じ画面を撮影した。
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画質「低」は明らかに輪郭にドット欠けが生じ、見た目にも劣化した感は否めないが、画質「中」は拡大すると画質「高」より確かに荒れている、という感じがするが、それほど粗が目立たない。元々ゲーム機型のUMPCは、画面が小さいので画質「高」と「中」の違いはそれほど感じない。フレームレート差が大分変わるので、画質「中」設定で遊ぶのがオススメだ。
今度は比較的軽いゲームが多い格闘ゲームから「DNF Duel」をピックアップ。「DNF Duel」は、テレビアニメも放映された「アラド戦記」を題材とした格闘ゲーム。とにかく登場するキャラクターの技がド派手で、爽快感があると話題の作品だ。Neopleとアークシステムワークスが共同で開発している。
画質設定は「最高」として、各解像度ごとにフレームレートを計測した。本作は多くの格闘ゲームと同じく、フレームレートの上限が60fpsとなっている。
ONEXPLAYER miniは、HDもフルHDも平均60fpsと上限に張り付いている。対してAYANEO NEXTはフルHDだと平均フレームレートが50fps台に留まっている。ONEXPLAYER miniは今回お借りした試用機の個体不良によるものか、アプリによってCPUの負荷が急に高まって、熱ダレを起こしたり、やや高いフレームレートを維持したりする傾向があった。これは、今回の試用機だけの動作か、現状の最新ファームウェアでの動作なのかが分からないが、いくつかのアプリやゲームにて、不可思議な動作をしていたので、その影響もあると考える。
最後に元々ソーシャルゲームとして人気を博してサービスを終了した『リトルノア』を題材としたローグライトアクション『リトルノア 楽園の後継者』の動作をチェックしてみた。『リトルノア 楽園の後継者』は、通常攻撃が「アストラル」と呼ばれる複数のキャラクターで構成され、その編成によって攻撃方法が変わるといった、一風変わったアクションが楽しめ、好評を得ている。本作には画質設定がないため、解像度のみ変更してフレームレートを計測している。
『リトルノア 楽園の後継者』に関しては、CINEBENCHや3DMarkでより高いスコアーを示したAYANEO NEXTの方がフルHDで高いフレームレートを示している。WQHDも誤差範囲だがAYANEO NEXTの方が高い数値になっており、想定通りといったところだ。
バッテリー駆動時間はONEXPLAYER miniの方が2倍長持ち!?
さて、この手のゲーム機型のUMPCは、Nintendo Switchのように携帯ゲーム機としての側面も求められる。自宅では自分の好きな場所で、好きにくつろぎながらプレイするほか、外出先でも使いたいという人も多いことだろう。
そんな時に気になるのが、バッテリーライフだ。そこで、ウェブブラウザーを定期的に開くなどしてバッテリー駆動時間を計測できる「BBench」を使って、駆動時間の計測を行なった。ディスプレーの輝度はどちらも50%に設定し、時間経過によるディスプレーのスリープなどはオフにした状態で計測している。
バッテリー駆動時間はAYANEO NEXTが約1時間52分のところ、ONEXPLAYER miniが約4時間8分と2倍の時間持った。バッテリー容量は、AYANEO NEXTの方が4100mAhのセルを3基(計12300mAh)備え、ONEXPLAYER miniは10455mAhとAYANEO NEXTの方が大容量だ。
しかし、AYANEO NEXTは今回の検証でTDPを引き上げており、その上輝度がONEXPLAYER miniよりも高いことが、この結果になった要因だとも考えられる。しかしながら、解像度はONEXPLAYER miniの方が高いので、それを踏まえると電力消費とのバランスはやや残念だ。外出先で使う場合は、TDP設定や輝度の調整も考慮するべきだろう。
Ryzen搭載ゲーム機型UMPCが今後も続々登場!
このジャンルの覇権になり得る!?
以上で本検証は終了だ。AYANEO NEXTは、独自ランチャーの「AYA Space」による利便性と、競合製品よりも輝度&色彩が高いディスプレーにより、7型のゲーム機型UMPCとしては満足度の高い製品に仕上がっている。
一方、ONEXPLAYER miniは、8.4型よりは性能がやや落ちたとはいえ、小型化による持ち運び易さと、長時間手に持つ際の負担が軽減された軽量化は魅力。AYANEO NEXTよりも高解像度かつバッテリーが長持ちする点も良く、外出先での利用も考えている人にオススメできる。
世に出始めた頃のゲーム機型のUMPCは、インテルCPUの採用が多かったが、世界最大級のPCゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValveの「Steam Deck」はAMD APUを採用。AYA NEO社からも約395gと軽量で有機ELを採用した「AYANEO AIR」(Ryzen 5 5560U搭載)も登場した。その後もAMDのエントリー向けノートPC用プロセッサー「Mendocino」を採用する「AYANEO AIR Plus」、Ryzen 7 6800U搭載の「Aya Neo 2」とスライド式のキーボードを備える「Aya Neo Slide」と続々新製品が発売される予定だ。
このゲーム機型のUMPCは、USB接続のドッキングステーションによってインターフェースを増やして、自宅では大型ディスプレーに表示して、デスクトップPCのように使うことも可能。また、製品によっては外付けGPUボックスを取り付けて性能をデスクトップゲーミングPC並みに引き上げ、高解像度でPCゲームをプレイできる。その際、コア数が多く、複数アプリの処理が快適なRyzenプロセッサーは、普段使いでも活躍する選択肢となる。今後の新製品動向にも注目したい。