「OC Formula」や「Taichi」、「Phantom Gaming」「Challenger」と、多くのゲーミング向けシリーズを展開しているASrock。今回紹介する「AMD Radeon RX 6750 XT Phantom Gaming D 12GB OC」(以下、RX 6750 XT Phantom Gaming)は、その名のとおりPhantom Gamingシリーズに属する「Radeon RX 6750 XT」(以下、RX 6750 XT)搭載モデルだ。
RX 6750 XTは、1440p(WQHD)でのゲームプレイを想定したミドルレンジ向けGPUだが、果たして同GPUを採用した“Phantom Gaming”はどのような位置付けなのだろうか。そこで、RX 6750 XT Phantom Gamingを使用してゲームをプレイし、そのパフォーマンスに迫ってみたい。
ブーストクロックを2623MHzに引き上げたクロックアップモデル
まずは、RX 6750 XT Phantom Gamingの動作クロック設定から説明していこう。RX 6750 XT Phantom Gamingは、製品名に“OC”と入っていることからもわかるとおり、メーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルだ。具体的には、ベースクロックが2623MHz、ゲームクロックが2554MHz、ブーストクロックが2623MHzで、リファンレスから順に73MHz、59MHz、23MHz向上している。なお、メモリークロックは18Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、付属アプリケーションの「ASRock Tweak」(Version 2.0.56)を使用することで、「オーバークロック」と「サイレント」の2つの動作モードが利用可能。ただ、これらの動作モードを適用しても動作クロックに変化はなく、オーバークロックでは電力制限が10%上昇し、デフォルトの230Wから253Wへと変化する。一方のサイレントでは、電力制限が5%減少し、216Wに低下するようになる。
また、ASRock Tweakでは、動作モードからカスタマイズを選択すると、ブーストクロックを1MHz刻みで500~2950MHzに設定できるほか、メモリークロックを8Mbps刻みで18000~18496Mbpsに変更することも可能だ。
カード長は約305mmと比較的大きめ
ファンのLEDのイルミネーションはインパクト大
RX 6750 XT Phantom Gamingのカード自体について見ていこう。カード長は実測で約305mm(※突起部除く)で、「Radeon RX 6700 XT」リファレンスカードが同266mmだったのと比べると、40mm近く長い計算になる。ただ、基板自体は244mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に61mmほどはみ出た格好だ。さらに、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから約24mmほど背が高くなっており、全体的なサイズ感はかなり大きめだ。
そのGPUクーラーは2.75スロット占有タイプで、90mm角相当のファンを3基備えている。この3基のファンによる冷却機構を、ASRockは「Phantom Gaming 3X Cooling System」と呼んでおり、ファンは「Striped Axial Fan」というユニークなもので、ブレード先端部の表面が研磨加工され、根本に近い部分には2本の線状の突起物が設けられている。
ASrockによると、このファンブレードにより、エアフロ―の風圧が増し、集中度が向上しているという。そのほか、「0dBサイレントクーリング」により、GPUに対する負荷が低い場合にはファンの回転を停止する機能も用意されている。
さらにASRock Tweakでカスタマイズを選択すると、ファンのチューニングが可能。「固定モード」を選択すると、回転数を一定にできるほか、カスタマイズではGPUの温度と回転数の関係を示したファンカーブから、各温度における回転数を自由に設定できる。
また、3基のファンのうち、中央の1基のみがブレードに透明なアクリルパーツが用いられており、それを通してLEDのイルミネーションが映る様子はなかなかインパクトがある。LEDはカード側面に実装されたディップスイッチにより、ON/OFFを切り替えることができるほか、付属アプリケーションの「Polychrome Sync」(Version 1.0.26)を使用することで、色や光り方を制御可能だ。
GPUクーラーの隙間から覗き込むと、6mm径のヒートパイプが6本使用されているのが確認できる。また、放熱フィンの下には金属製フレームが挟み込まれており、カードの強度を保っている。また、ASRockによると、RX 6750 XT Phantom Gamingの電源部にはDr.MOSや90Aに対応したプレミアムチョークなど高品質なパーツを使用しているという。
補助電源コネクターは8ピンを2基搭載。映像出力インターフェースは、DisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1という構成。最近のビデオカードではよく見かけるタイプだ。