拡張スロットは2本だがストレージは豊富
もちろんPCIe 5.0対応のX670E仕様
チップセットがAMD X670なので、右下のスペースには2つのチップが確認できる。そしてこのチップセットで重要なのがPCI Express 5.0対応だ。製品名にもX670Eとあるように、本製品はグラフィックスカード用もM.2スロットも、PCI Express 5.0対応のものを搭載している。
拡張スロット、M.2スロットのレイアウトは独特だ。まず拡張スロットは2本のみ。x16またはx8+x8で利用するタイプだ。3スロットまでのグラフィックスカードを使えばもう1枚拡張カードを使えるが、分割による8レーン動作になる。実際のところ、搭載できるのはグラフィックスカード1枚のみということになるだろう。もっとも、そう割り切ることができればハイエンド構成の熱量も御しやすくなるだろう。
M.2スロットは、CPUソケット下の1基がPCI Express 5.0 x4、メモリースロット横がPCI Express 4.0 x4/Serial ATA 3.0、拡張スロットの間の2つのスロットがPCI Express 4.0 x4に対応する。合計4スロットあるので容量を求める人に最適だ。1スロットはSerial ATA 3.0にも対応しているので、発熱を抑えたい人やストレージコストを抑えたい人にも適していると言えるだろう。
また、CPUソケット下のPCI Express 5.0 x4対応M.2スロットには、ファン付きヒートシンクが用意されている。標準ヒートシンクと交換する形で利用するタイプだ。
Serial ATA 3.0ポートは8基。うち4基はチップセット機能を利用しており、残り4基は2基のASMedia「ASM1061」を介して実装されている。ASM1061はPCI Express x1から2ポートのSerial ATA 3.0を利用可能にするチップだ。
USB4やKiller LAN&Wi-Fiでゲーミング向けスペック
そのほかのインターフェースを見ていこう。バックパネルは映像出力にHDMI、BIOSフラッシュバックおよびCMOSクリアボタンがまず特徴。Wi-Fi 6E、2.5GbEのほか、USBはUSB4×2、USB 3.2 Gen 2×5(うち2ポートは同社の低遅延ポート、ライトニングゲーミングポートに対応)、USB 3.2 Gen 1×2。
USBは配置がバラバラなのでバックパネル端子横の表記を参考にしたい。また、USB4についてはIntel「JHL8540」によって実装されている。JHL8540はThunderbolt 4チップだが、本製品ではThunderbolt 4表記がなくUSB4という扱いだ。
フロントUSBは、USB 3.2 Gen 1ヘッダーが2基、USB 3.2 Gen 2×2ヘッダーが1基。製品トータルで見れば、40GbpsのUSB4に20GbpsのUSB 3.2 Gen 2×2と、高速USBを豊富に備えている。
また、オーディオはコーデックにRealtek「ALC4082」、フロント用DACにESS「ES9218PQ」、そしてWIMA製コンデンサーで構成されている。ただし、バックパネルの端子はマイク入力、ライン出力、S/PDIFと少なめだ。オーディオシステムにはS/PDIF接続を、メインはフロント端子からヘッドフォンを利用するといった使い方を想定しているのかもしれない。
ハイエンドマザーボードだけに、オンボードの電源/リセットボタンを備えるほか、POSTコード表示パネルも搭載している。組み込み前の通電チェックや、その際のデバッグ等がこれらで行えるのは便利だ。
見た目も機能も豪華な「20周年記念モデル」
もし予算があるなら投資すべき!?
X670E Taichi Carraraは、ユニークなデザインだけでなく、DDR5&PCI Express 5.0への対応、VRMを含め充実した機能などが魅力だ。冒頭にも書いたが、こうした特別なデザインは記念モデルでないとなかなか入手できないと思われる。AM4→AM5によってパフォーマンスの進化も大きく、入手しておくならこのタイミングは逃すべきではないだろう。
一方、ハイエンドだけに潤沢な予算を確保する必要がある。ハイエンドで10万円を超えるものもめずらしくないX670チップセット搭載マザーボードにおいて、X670E Taichi Carraraの9万円台という実売価格は機能から考えれば妥当、むしろよく抑えられたと評価できるだろう。ただ、あくまでコストよりも性能を求めるユーザー向けの製品と言える。おそらくRyzen 9グレードを組み合わせてやっと、このマザーボードの豪華なVRMに釣り合うのではないだろうか。