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上位モデルは伯仲!?Ryzen 7000vs第13世代Core、クリエイティブ系アプリで比較(3/3)

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

2023年版になって謎の失速をした「UL Procyon」と、
第13世代Coreが強かった「Lightroom Classic」

 続いては写真編集系アプリでの検証に入るが、まずは「Lightroom Classic」と「Photoshop」を実際に動かしてパフォーマンスをスコアー化する「UL Procyon」の“Photo Editing Benchmark”を試してみた。

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのスコアー

 ここでもRyzen 7000シリーズよりも第13世代Coreの方が全体的に良いスコアーを出している。Image Retouching(Photoshopメイン)とBatch Processing(Lightroom Classicのみ)のどちらにおいても第13世代Coreが高スコアーを出しているが、筆者としてはこの結果は(数回繰り返すどころか、複数のCPUで同傾向になるのを確認していてはいるものの)にわかに信じがたい。その理由はアスキーのYouTubeチャンネルで筆者が出演している「ジサトラKTU #264」で紹介したスコアーも見てみよう。

UL Procyon:ジサトラKTUで紹介したPhoto Editing Benchmarkのスコアー

 2週間程度前の結果では、Ryzen 7000シリーズが強い。特にImage Retouchingのスコアーが第13世代Coreを圧倒していることが分かるはずだ。なぜ短期間でこの結果が出たか断言できるようなデータはないが、Windows 11のビルドの差、PhotoshopとLightroom Classicのビルドの差、またはその両方が原因であると考るべきだ(Windows 11 22H2と2023の組み合わせになって、全体的にスコアーが下がっている)。まだRyzenは新しいビルドに対し何らかの不具合を抱えている可能性がある。それがどこ(AMDか、Adobeか、Microsoftか)だかは不明だが。

 Lightroom Classicのパフォーマンスに関しては、筆者がいつも使っている100枚のDNG画像(61メガピクセル)をJPEGに書き出すメソッドでも検証してみたい。書き出し時にはシャープネス(スクリーン用、適用量標準)を付与することで、非常にコアへの負荷が高いテストとなっている。

Lightroom Classic:DNG100枚→JPEG書き出し時

 第13世代Coreが1分台でフィニッシュしているのに対し、Ryzen 7000シリーズは2〜4倍の時間を必要としているが、ここでもUL Procyonと同様にRyzen 7000シリーズが失速していると考えられる。今後改善する可能性もあるし、まだRyzen 7000シリーズは出たばかり(しかもまだ安定性は危うい印象もある)であるため、また日を置いて検証するチャンスがあればやってみたい。

同じAI系でも傾向が違う「Topaz DeNoise AI」「Topaz Gigapixel AI」

 写真編集系でもGPU依存度の高いAIによる高品質化や超解像処理を行った際のベンチマークをやってみたい。

 まず「Topaz DeNoise AI」では、24メガピクセルのJPEG画像30枚を準備し、学習モデル「Severe Noise」を使用してノイズ除去処理時間を計測した。AIプロセッサーの設定に関しては前述のTopaz Video AIと同様にRX 6950 XTを明示的に指定し、VRAM使用容量も最大(High)に設定している。

Topaz DeNoise AI:30枚の画像に対するノイズ除去処理時間

 ここではRyzen 9 7950XとCore i9-13900Kが同着だが、下位モデルに関してはほんのわずかの差でRyzen 7000シリーズが優勢“のように見える”。ただ1秒か2秒の差なので簡単に覆ってしまうため、誤差程度の差しかないと考えるのが妥当だろう。

 続いて「Topaz Gigapixel AI」では、800ドット四方のJPEG画像30枚を用意し、学習モデル「Very Compressed」を用いて縦横4倍、即ち3200ドット四方に拡大する処理時間を計測した。AIプロセッサー関連の処理はTopaz DeNoise AIに準じている。

Topaz Gigapixel AI:30枚の画像に対する4倍アップスケール処理時間

 こちらは第13世代CoreがRyzen 7000シリーズよりも最大30秒程度高速だが、Ryzen 5000シリーズを基準にするとしっかりCPUの差がでていると言えるだろう。GPUを使う処理であっても、処理内容が違えば傾向がかなり異なるようだ。

「After Effects 2023」でも似た傾向が

 最後に試すのは「After Effects 2023」だ。4K 60fps(40秒)の動画を準備し、これに対し「3Dカメラトラッキング」で解析する時間を計測した。

After Effects 2023:3Dカメラトラッキングの処理時間

 Core i9-13900Kが唯一12分を切っているが、その他のモデルはだいたい13分前後に集中している。Ryzen 7 7700Xが頭一つ抜けている部分からは、CCD跨ぎのないRyzen 7の優位性が窺えるが、断言できるほどのデータは集まっていない。

まとめ:現時点ではRyzen 9は強いが、スレッド数の少ない下位モデルは……

 以上で最新OS+ビルド環境によるクリエイティブ系アプリ検証は終了だ。UL Procyonのように旧環境と大きく傾向が違うものが出てしまったため、Ryzen 7000シリーズは手放しで強いと呼べる状況ではなくなったのが残念だが、それでも物理コア数の多いRyzen 7000シリーズの上位モデル(7900Xおよび7950X)は第13世代Coreに対して完敗とは言いがたい。

 特にCPU負荷の高い処理においては、第13世代Coreは熱問題や消費電力問題が顕在化するため、トータルとしてはRyzen 7000シリーズが魅力的に見える。ただこの論法だとCPU負荷の低いアプリ(今回ではDaVinci Resolve系やTopaz系がこれにあたる)では、安定して第13世代Coreが優勢であると言えるし、これなら熱や消費電力問題は小さいままで済む。

 実力伯仲と言い換えることもできるだろう。長期間マザーボード(ソケット)を使い回せるAMDのエコシステムを取るか、P/Eコアの使い分けによるマルチタスク時のレスポンスに強みのある第13世代Coreの設計のどちらを取るかにもよるが、長い期間使っていくPCであることを考えれば、Ryzen 7000シリーズの方が良い選択であるといえる……かもしれない。

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