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【AMDチップセットマザーボードレビュー第54回】

Mini-ITXながら豊富過ぎるインターフェースを実現したGIGABYTE「B650I AORUS ULTRA」(2/3)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

x16スロットはGen4、M.2スロットは3基中1基がGen5対応

 AM5プラットフォームなのでメモリはDDR5対応として、気になるのはPCI Express Gen5対応だろう。さすがにB650I AORUS ULTRA (rev. 1.0)ではビデオカード用PCI Express x16スロットに関してムリをせずPCI Express Gen4対応にとどめている。

 なお、小型のMini-ITXでは非常に役立つ「EZ-Latch」も搭載している。狭いPCケース内でビデオカードを外す際、ラッチを押し下げるのはけっこう大変だ。通常よりも大型のEZ-Latchなら、いくらかラクにラッチのリリースができる。

メモリはDDR5。2スロットで最大64GB。DDR5-6400(OC)まで対応


PCI Express x16はGen4対応どまり


ラッチのツメ部分が少し外に拡大していて押しやすいEZ-Latch

 一方、M.2スロットに関してはCPU側1基をPCI Express Gen5 x4対応としている。そもそもMini-ITXではよくチップセット上にヒートシンク、その上に基板を重ねてM.2スロットを2基実装するというムチャなレイアウトが多いが、うちB650I AORUS ULTRA (rev. 1.0)ではうち1基がPCI Express Gen5対応だ。

 当然、パッシブ冷却では足りず、小径ファンを内蔵してアクティブ冷却としている。結果的にM.2部分のヒートシンク高、I/Oシールドパネル部分と同じ高さだ。ちょうどL字になっている。


ヒートシンクを外すと1番目のM.2スロット、そのスロットが載った基板を取り外して裏返すと2番目のM.2スロットが現れる

 3基目のM.2スロットはマザーボードの裏側。2基目のPCI Express Gen4対応スロットも熱源の近くにあり、3基目のスロットもエアフローがよい部分とは言えない。よほどケースの冷却がよい場合でないかぎり、2、3番目スロットに挿すM.2 SSDは低発熱のモデルを選んだほうがよいだろう。

3番目のM.2スロットはマザーボード裏。ここにアクセスするにはバックプレートを取り外す必要がある。ネジが2種類使われているので間違えないように

Mini-ITXなりにフェーズ数は少ないが、
用いられている設計技術が見もの

 次はCPU電源回路を見ていこう。まずCPU電源端子はEPS12V×1基だ。Mini-ITXなので2基目を搭載するスペースがないのでここは仕方がない。ただ、CPUサポートリストには最上位のRyzen 9 7950Xも記載されている。なお、PCBは12層(2オンス銅箔層もあり)

 CPUフェーズ数は8+2(SOC)+1(MISC)。ここもかなりユニークな実装をしている。なにしろAM5のクーラー固定具はソケット上下にあり、ここにVRMを並べることは難しい。ほぼすべてがCPUソケット左側の領域に実装されている。しかもPWMコントローラやMOSFET、チョークは表に実装されているが、コンデンサは裏面。涙ぐましい努力だ。


ヒートシンク等を取り外した状態

 PWMコントローラはInfineon「XDPE192C3B」。MOSFETは3種類を使い分けており、VCORE用は Renesas「RAA22010540」(105A対応)、SOC用はonsemi「NCP303160」(60A対応)、MISC用はMaxLinear「MXL7630S」(30A対応)。

Infineon「XDPE192C3B」


Renesas「RAA22010540」


onsemi「NCP303160」


MaxLinear「MXL7630S」

 このようにB650I AORUS ULTRA (rev. 1.0)ではMOSFETを場所に応じて使い分けている。これは変換効率的においしいゾーンで使うための設計と言えるだろう。VCOREはかなりヘビーロードだが、SOCやMISCはそれほど電力食いではない。それでもSOCは60A×2フェーズなのでまずまずの電流量。周辺部品の品質も、一般的なATXマザーボードと比べると高品質、小型のものが選ばれている。

タンタルコンデンサ等、高品質&小さな部品を多用

 VRMヒートシンクはフル金属製。ブロックタイプで表面から見るとシンプルな形状だが、チップセット&M.2ヒートシンク部とヒートパイプで結ばれている。チップセット&M.2ヒートシンク部には前述のとおりアクティブ冷却なので、VRMヒートシンク側にファンはない。

 合わせてファン端子や温度センサー等にも触れておこう。ファン用の4ピンヘッダーは3基。どれもPWM/DC両対応としており、水冷ポンプ向けとして12V×2A出力に対応している。合わせて、ファン回転数制御を行なう「Smart Fan 6」では、制御点が従来の5点から7点に増え、ファン回転数をより細かく、カーブをなめらかに設定可能となっている。

 そのファンカーブについても、スロープモード、階段モード、ノンリニアモードと3つのモードを用意。各自好みのマニアックな設定も可能とする一方で、EZチューニングによりカンタンに設定することもできる。ファンカーブはプロファイルとして保存でき、ここはBIOSアップデートでも保持されるとのこと。

 また、Mini-ITXでは温度管理がシビアということもありセンサーが重要だ。B650I AORUS ULTRA (rev. 1.0)では、CPUソケット裏は当然として、VRM部分やチップセット&M.2部分、PCI Expressスロット部分など計6箇所に温度センサーを搭載している。

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