フルで回してもGPUは60度台!?
最後に消費電力や発熱といった安定性に関わる要素をもう少し詳しく検証していきたい。
まずはビデオカード単体の消費電力(Total Board Power:TBP)だが、これはNVIDIA「PCAT v2」を使用して計測した。ゲームは「Tiny Tina’s Wonderlands」とし、解像度4K、画質“バッドアス”、APIはDirectX 12に設定して、マップ“ブライトフーフ”の城前で15分程度放置した際のTBPを計測。ここでもTUF Gaming Radeon RX 7900 XTX OC Edition 24GB GDDR6のBIOSはPモードのみとする。
このデータによれば、PCI Express x16スロットからは常に9W、8ピンケーブルからは3系統合わせて平均280W、両方合わせると平均290Wという計算になる。瞬間的にTBPが328Wまで上昇することはあっても、平均では300Wを割っているという点は、8ピン×3を必要とするファクトリーOCモデルとしては割とマイルドな消費電力といえる。ちなみに本製品のPPTは、瞬間最大値378Wが上限、高負荷のまま維持できる値は315Wとなっているが、後者の値はほぼTBPの実測値に近い。
このTBPを計測している間のGPU温度やクロックの推移も見ておきたい。状態の測定には「HWiNFO Pro」を使用した。室温は28度、バラック組み環境である。
まずGPUクロックの安定値はフロントエンドが2690MHz、シェーダー2495MHz(RDNA 3世代のGPUはGPUクロックが2つあるのだ)。どちらも微妙に上下するが、変動量はごくわずかで非常に安定している印象。
そしてGPU温度はGPU全体では60度、ホットスポット(ダイ中の局所的な高温部)ですら77度前後。ホットスポットが高いのは当たり前だが、GPU温度が60度というのは空冷としては極めて低い。実質4スロットの巨大カードなので冷えて当たり前ともいえるが、GPU負荷100%でこの温度であれば、長時間安心してゲームに没頭できるだろう。
まとめ:冷却力の圧倒的な安心感
以上でTUF Gaming Radeon RX 7900 XTX OC Edition 24GB GDDR6のレビューは終了となる。最近のハイエンドGPUはとにかくカードサイズが肥大傾向にあるが、本製品は“デカいことは良いことだ”を地で行く製品に仕上がっている。
今回の検証はバラック組みだったとはいえ、GPU温度が高負荷時でも60度は強烈な魅力を発している。これでRadeonに待望の“フレーム生成技術”であるFSR 3が実装されれば、4Kでもさらにフレームレートが伸びることが期待できる。今年のビッグタイトルを最高のRadeon環境でプレイしたいと考えているなら、TUF Gaming Radeon RX 7900 XTX OC Edition 24GB GDDR6は投資する価値のあるカードといえるだろう。