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3D V-Cache搭載「Ryzen 7 7800X3D」はコア数は控えめだが最高のゲーミングPC向けCPUだった!?(3/7)

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

マルチスレッド性能は予想通り

 では「CINEBENCH R23」による馬力比較から始めよう。Ryzen 7 7800X3Dはコア数こそ8基だが、動作クロックが7700Xよりも低く設定されている。しかしTDPはRyzen 7 7800Xの方が勝っている。これがスコアーにどう影響するかチェックしたい。

CINEBENCH R23:スコアー

 Ryzen 7 7800X3Dはシングル・マルチスレッドスコアーの両面でRyzen 7 7700Xよりも若干下となった。TDPがRyzen 7 7700Xより15W程度高くても、素のクロックの差を埋められるようなものではなかった。クロックの 低さゆえにシングルスレッドスコアーも下がっているが、ゲームでは3D V-Cacheがそのハンデを埋めてくれる、という展開に期待したい。

 いつもならここで「UL Procyon」やら「Media Encoder 2023」などを試すところだが、今回は省略する。Ryzen 9 7950X3Dレビューでも明らかな通り、3D V-Cacheはゲーム以外の用途では効果を見いだすことができない。そこで今回はCINEBENCH R23の検証結果を補完する意味で「HandBrake」のみを試す。再生時間約3分の4K@60fps動画をプリセットの“Super HQ 1080p Surround”でフルHDのMP4に書き出す時間を計測した。

HandBrake:Super HQ 1080p Surroundを利用したエンコード時間

 ここでもRyzen 7 7800X3DとRyzen 7 7700Xの力関係は変わらない。ゲームもクリエイティブ系アプリも同じくらい使う、あるいはクリエイティブ系アプリのウエイトが大きいという人であれば、Ryzen 9 7900X3Dより上、もしくはCore i9-13900Kを選ぶべきだ。

 このエンコード処理時のシステム全体の消費電力も比較しておこう。計測はラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を利用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、処理開始序盤に出現するピーク値「高負荷時(最大)」と、処理中盤以降に出現する安定値「高負荷時(安定)」の値をそれぞれチェックした。

システム全体の消費電力

 フルロード状態のRyzen 7 7800X3Dの消費電力はTDP 120Wとは思えないほど低い値を示している。むしろTDP 105W設定のRyzen 7 7700Xが頑張りすぎている感すらある。消費電力に関しては心配する必要はないようだ。

予想通りの着順になった「Overwatch 2」

 では実ゲームによる検証に入ろう。CPUパワーの差を観測しやすくするために、ここでの検証は全てフルHD&画質低設定で実施する。またフレームレート計測はゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なく「FrameView」を使用し、実際に表示される実フレームレートを比較する。

 まずは「Overwatch 2」から始めよう。画質“低”、レンダースケール100%、フレームレート上限600fpsに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。

Overwatch 2:1920×1080ドット時のフレームレート

 Ryzen 9 7950X3DがCore i9-13900Kを上回るのは3D V-Cacheの効果であることは既に明らか。だがRyzen 9 7950X3D~Ryzen 7 7800X3Dに注目すると、平均フレームレートはRyzen 9 7950X3DとRyzen 7 7800X3Dがほぼ同じで、Ryzen 9 7900X3Dのみ微妙に下となる。この点は前述の“ゲームから見ると6コア”、即ち3D V-Cacheを搭載したコア数の差による影響が考えられる。

 ただ最低フレームレートに関してはRyzen 7 7800X3Dが最も高いが、これの理由については不明だ。今回も各ベンチマーク実施時にどの程度の電力を消費したのかもチェックする。FrameViewのログから、CPU Package Powerを拾い上げることで取得した。

Overwatch 2:ベンチマークにおけるCPU Package Powerの平均値

 インテル製CPUが100W前後を消費する(あくまでAPIを通した推測値だが)のに対し、3D V-Cacheを搭載したRyzen 3モデルの消費電力は少ない。特にRyzen 7 7800X3Dの消費電力はCore i9-13900Kの約半分程度で済んでいる。それでいてフレームレートはCore i9-13900Kを20%近く上回っているのだから、Ryzen 7 7800X3DのワットパフォーマンスはRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3D以上に高いといえる。

「Call of Duty: Modern Warfare II」ではクロックが響いた?

「Call of Duty: Modern Warfare II」では画質“最低”、アンチエイリアス品質は“ウルトラ品質”とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Call of Duty: Modern Warfare II:1920×1080ドット時のフレームレート

 ここでもRyzen 7 7800X3DはCore i9-13900Kを上回っているが、Overwatch 2ほど伸びていない。この検証の中ではRyzen 9 7950X3Dの平均フレームレートが最も高いが、下位モデルとの差はブーストクロックの差が原因と考えられる。そしてここでもRyzen 7 7800X3DはRyzen 9 7900X3Dを上回った。

Call of Duty: Modern Warfare II:ベンチマークにおけるCPU Package Powerの平均値

 ベンチマーク中の消費電力についてはOverwatch 2と同じ傾向にある。3D V-Cacheを持たないRyzen 7 7700Xの方がRyzen 7 7800X3Dよりも20W近く電力を使っている点は、3D V-Cacheの効果がいかに高いかを示している。L3キャッシュが巨大である分、メインメモリーへのアクセスが減り、結果としてCPU全体の消費電力が下がったのではないかと考えられる。

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