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Radeon VIIはクリエイティブ系アプリだと他の追従を許さない性能だった!(2/4)

加藤勝明 編集●ジサトラハッチ

VRAM 8GB対16GBで比較

今回は検証ありきなので、さっそく検証環境を紹介しよう。GPUの支援を得られるクリエイティブ系アプリはCG系のほかに静止画・動画編集系があるが、GPUパワーとVRAM使用量の観点からCG系と動画編集系でテストした。静止画系は外して動画系に絞った理由は動画編集系の場合、データは単純な解像度に加えて時間軸方向にも積み重なるため、VRAM使用量が大きくなりやすいからである。

CPUのチョイスはやや迷ったが、CG系を試すためThreadripper 2990WXをチョイスした。動画編集ソフトでは32コアをまだまだ使いきれないが、最新のRyzen Masterを導入すれば、処理の遅いノードに処理が割り振られにくくなるため弱点がかなり緩和できる。

ビデオカードはRadeon VIIの他に同じHBM2を搭載したVega 64のリファレンスカード、さらにMSI製のRTX 2080搭載カードを準備した。VRAM16GBのRadeon VIIに対し8GBのVega 64と(Radeon VIIとほぼ同価格帯の)RTX 2080をぶつけてみる。

Radeon勢は検証時最新の「Radeon Software Adrenalin Edition 19.3.3」を、RTX 2080に関してはクリエイティブ系アプリに最適化されたという「Creator Readyドライバー 419.67」を導入している。

【検証環境】
CPU AMD「Ryzen Threadripper 2990WX」(32コア/64スレッド、3~4.2GHz)
マザーボード ASUST「ROG ZENITH EXTREME」(AMD X399、BIOS 1701)
メモリー G.Skill「F4-3200C14D-16GFX」×2(DDR4-2933で運用)
ビデオカード AMD「Radeon VII」(HBM2 16GB)、「Radeon RX 64リファレンスカード」(HBM2 8GB)、MSI「GeForce RTX 2080 VENTUS 8G OC」(GDDR6 8GB)
SSD WesternDigital「WDS100T2X0C」(M.2接続、NVMe、1TB)
電源 Silverstone「ST85F-PT」(850W、80PLUS Platinum)
CPUクーラー Enermax「ELC-LTTR240-TBP」(簡易水冷、240mmラジエーター)
OS マイクロソフト「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update)

CG系でさっそく強みをみせる

まずはCG系のベンチマークから始めよう。OpenCLを利用したレンダリング速度を比較する「LuxMark」で各GPUのパワーを調べておきたい。このテストはVRAM搭載量というよりは、OpenCLの計算力を比べるものだ。LuxMarkに収録されている3つのテストを全部実行し、最後に表示されるスコアーを比較する。

「LuxMark」のスコアー

まずはRadeon VIIのOpenCLパフォーマンスの優秀さの一端がわかる結果となった。Vega 64とRTX 2080がほぼ同じで、メモリーバス(1TB/秒)の太いRadeon VIIが突き抜けたスコアーを示している。このあたりはさすがMI50ベースのGPUといえるだろう。

次は「Blender」を利用したレンダリング時間を計測してみよう。RTX 2080はRTコアという極めて強力な武器があるが、本稿執筆時にはまだBlenderはDXRに対応していない。

一方Radeonには「Radeon ProRender」というレイトレーシング用のレンダラーがBlender向けに公開されている。このRadeon ProRenderはOpenCLベースなので、GeForce系でも動作する。そこでレイトレーシングを利用するシーンをレンダリングする時間を比較してみたい。

テストにはAMDから提供された「Cornell Box」というシーンを使用する。1フレームのレンダリング時間で比較しよう。GPUレンダリングの効率を左右する「Samples per View Update」のパラメーターは最大の20に設定している。

また、Blender標準装備の“Cycles Render”を利用し、公式ページからDLできる“Pavillion Barcelona”をレンダリングする時間も計測する。ちなみに今回時間計測を行うテストが多いが、全て5回ずつ計測した時の中央値を結果として採用している。

Cycles Renderを利用する場合はBlender上で明示的にOpenCL(GeForceならCUDA)を指定した

「Blender」+「Radeon ProRender」を使用したレンダリング時間

「Blender」+「Cycles Render」を使用したレンダリング時間

Vega 64でレンダリング処理をさせていたなら、Radeon VIIを導入することによる時間短縮効果は非常に大きい。GPUそのものの処理性能に加え、メモリー帯域も強化されたことでレンダリングの待ち時間は着実に短縮されるだろう。ただ今回の検証では、RTX 2080がわずかにRadeon VIIより高速に処理を終えているが、Cornell Boxではわずか2秒と、ほぼ誤差とも言える差だ。

このテストではあまりVRAMの使用量は多くない。Coronell Boxのシーンで5.5GB程度、Pavillion Barcelonaでも5.2GB程度であるため、Radeon VIIのVRAM云々ではなくOpenCLの処理効率やメモリー帯域の太さが時間短縮に大きく貢献しているものと推測される。

「Blender」+「Radeon ProRender」を使用したレンダリングテストの様子

「Radeon ProRender」で検証シーンをレンダリングしている最中の「GPU-Z」部分をクローズアップ。GPU負荷(GPU Load)は散発的で、VRAMもそれほど消費されていない

「Cycles Render」で検証シーンをレンダリングしている最中の「GPU-Z」。こちらの方がGPUをガッツリと回しているが、解像度の関係もあってか、VRAMの使用量は5GB程度にとどまる

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