定格で安定動作を追求した90A対応8フェーズの電源回路
製品名:TRX40 Creator
メーカー:ASRock
実売価格:6万5000円前後
ASRockから登場した2枚のTRX40マザーボード。1枚は前回紹介したゲーマー/OC向けのTRX40 Taichiで、もう1枚がクリエイター向けモデル「TRX40 Creator」だ。ASRockのCreator向けモデルは明るいシルバーというテーマカラーを採用しつつ、基本に忠実かつクリエイターが求める部分を強化するといった特徴のマザーボードだ。
「TRX40 Creator」の主なスペック | |
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対応ソケット | Socket sTRX4 |
チップセット | AMD TRX40 |
フォームファクター | ATX |
メモリースロット | DDR4×8(最大256GB) |
対応メモリークロック | DDR4-4666(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133 |
拡張スロット | PCI Express 4.0 x16×4(x16/x16+x16/x16+x16+x8/x16+x8+x16+x8) |
ストレージインターフェース | SATA3(6Gbps)×8、M.2(PCIe4.0x4)×2、M.2(PCIe4.0x4/SATA3)×1 |
ネットワーク | 10ギガビットLAN(AQUANTIA AQC107)、2.5ギガビットLAN(Realtek Dragon RTL8125AG)、Wi-Fi 6(Intel) |
サウンド | 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC4050H、ALC1200) |
リアインターフェース | PS/2×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen2x2 Type-C×1(20Gbps)、USB3.2 Gen1 Type-A×4、オーディオ端子×5、SPDIF端子×1 |
M/B上インターフェース | RGB LEDヘッダー×2、アドレサブルLEDヘッダー×2、USB2.0ヘッダー×1、USB3.2 Gen1ヘッダー×2、USB3.2 Gen2 Type-Cヘッダー×1など |
Ryzen Threadripper 3000シリーズは、32コア64スレッドという多コアを実現しており、ゲーマーと言うよりはレンダリングやエンコーディング、オーサリングといったクリエイティブ用途に向けたモデルであることがAMDのプレゼンテーションでも明らかだ。本製品はワークステーションよりもコストパフォーマンスがよく、メインストリームよりもハイパフォーマンスを求めるといったニーズに向けたモデルである。
TRX40 CreatorとTRX40 Taichiの違いがよく分かるのがVRM設計だ。TRX40 Creatorは8フェーズに抑えられている。TRX40 Taichiの半分という数はインパクトがあるが、要はTaichi側はOCを視野に入れたためにCPUコア向けだけで16フェーズもの電源回路を構成しているというだけだ。Ryzen Threadripper 3000シリーズを定格で動作させるならば8フェーズで大丈夫ということになる。もちろん、MOSFETとチョークは90A対応のものを採用しており、十分な電力を供給可能だ。
回路設計では、PWMコントローラにRenesasの「ISL69247」を用い、MOSFETは同「ISL99390」を組み合わせている。フェーズダブラーは用いていない。一方、MOSFETを中心に、左右にEPS12Vの8ピンコネクタを置くレイアウトはTRX40 Taichiと同様だ。
アンコア部の回路は、2フェーズ+2フェーズに分かれているようだ。1系統はPWMコントローラがRenesas「ISL69243」でMOSFETがRenesas「ISL99390」。もう1系統はPWMコントローラがRenesas「ISL69144」でMOSFETがVishay Intertechnology「SiC632A」という組み合わせだった。複雑だが、負荷の具合によって使い分けているものと思われる。
なお、TRX40 Taichiでも特徴とされていた8レイヤーのサーバーグレードPCB、4セットの2オンス銅箔層なども受け継いでおり、低損失、マザーボード上の熱を全体に拡散して放熱する設計といったメリットを挙げている。
VRMの冷却は、ソケット上部のVRM部分に小型ファンを搭載したヒートシンクを、アンコア部となるソケット左側部分にはソリッドタイプの大型ヒートシンクを採用し、2つをヒートパイプでつなげている。小型ファンを搭載するのはTRX40 Taichiと同様だが、過度のオーバークロックを想定しない分、1基で済んでいるのだろう。高さに関しては十分に高いが、TRX40 Taichiほど巨大というわけではないので見た目はライトになる。
チップセットヒートシンクは一見するとM.2ヒートシンクと一体のように見えるが、実は分離していて双方に熱を伝える仕組みはない。チップセットヒートシンク側はファンが下部にあり、そこで吸気した風をメモリスロット側に排気する。排気部分にはフィンが並んでおり冷却効率はよさそうだ。
M.2ヒートシンクは一枚板に熱伝導パッドを貼り付けたもので、3つあるM.2のうち上2つのスロットが2280サイズ対応、最下段が22110対応となっている。