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最強CPUはどれだ!「第3世代Threadripper」vs「第3世代Ryzen」vs「Cascade Lake-X」の性能をガチ比較(2/7)

文●加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

基本的なパフォーマンスを再確認する

改めて基本的な性能を確認し、今後の検証のベースラインにしておきたい。まずは「CINEBENCH R20」でシングルおよびマルチスレッド性能の傾向を把握する。

「CINEBENCH R20」のスコアー

前回のThreadripperレビュー時と違うのはRyzen 9 3950Xのスコアーだが、基本的傾向は変わっていない。Core i9-10980XEの倍率設定をAutoにした状態だとコア数の少ないRyzen 9 3950Xより下回ってしまうが、BSCを有効にするとThreadripper 2990WX並になる。

Threadripperの場合アーキテクチャーの差(Zen+とZen2)の差は極めて大きく、Zen+世代の2990WX(32C64T)はZen2世代の3960X(24C48T)に大きく劣る。Zen2世代のThreadripperはZen+世代で問題になった内部構造が洗練され、Infinity Fabricの転送速度にも関係するメモリークロックの上限も引き上げられるなどの改善を積み重ねた製品であるため、この差は当然といえるだろう。

続いては「PCMark10」を使ってみよう。このベンチはさまざまな実アプリベースの処理性能から総合性能を導き出すというものだが、今回はゲーミング以外の性能を見る“Standard”テストを実施した。

「PCMark10」Standrdテストの総合スコアー

「PCMark10」Standrdテスト、Essentialsテストグループの総合スコアー

「PCMark10」Standrdテスト、Productivityテストグループの総合スコアー

「PCMark10」Standrdテスト、Digital Contents Creation(DCC)テストグループの総合スコアー

このベンチではCPUに対して、さまざまなパターンの負荷をかける。終盤に実施されるDCC(Digital Contents Creation)テストグループは動画編集やCG作成といったマルチスレッド性能主体のテストがそろっているが、EssentialやProductivityテストグループはシングルスレッド勝負になる局面も多い。

ゆえにコア数が多くてシングルスレッドにも強いCPUを使うことが高スコアー出すためのコツだが、Threadripper 3960X/3970Xのスコアーは奮わない。CINEBENCH R20の結果に示された第3世代Threadripperはシングルもマルチも速いという見解と相反するが、単純な演算処理に終始するCINEBENCH R20と、実アプリを多く含むPCMark10の負荷では違うようだ。

このベンチではRyzen 9 3950Xが優秀であり、BSCを有効にすればCore i9-10980XEは極めてパワフルであることが示されている。

最後にシステム全体の消費電力をチェックしよう。ラトックシステム「BT-WATTCH1」を使用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、blenderベンチ(後述)中のピーク値を“高負荷時”とした。

システム全体の消費電力

ここで(悪い意味で)ずば抜けた値を示したのがCore i9-10980XEだ。コアの倍率設定をAutoにした場合はさほどでもないが、BSCを有効にした状態では800W近くまで跳ね上がる。今回検証に使ったX299マザーボード(ROG STRIX X299-E GAMING II。原稿執筆時点では日本未発売)BSCを有効にするとコアの平均実効クロックが4.8GHz近くまで上がるためこのような結果が出たが、他メーカーのマザーボードではBSCをただ有効にしてもここまで伸びない可能性もある。

一方、Core i9-10980XEよりコア数の多い第3世代Threadripperは400W強で収まっている。Core i9-10980XEのBSC同様にPBO(Precision Boost Overdrive)を有効にするとさらに伸びるだろうが、今回は時間の関係で定格のみの検証にとどめている。定格のCore i9-10980XEやRyzen 9 3950Xと比較すると、第3世代Threadripperはコア数が多いなりに消費電力も上がっているが、クロックが抑えられているため単純に3950Xの2倍にはなっていないこともわかる。

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