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「DEATH STRANDING」のロード時間はPCIe 4.0や「StoreMI 2.0」で変わるか?ストレージごとの差を検証

文● 宮崎真一 編集● AMD HEROES編集部

ほとんどのゲームにおいて、データのロード時間はプレイヤーのストレスになりがちだ。セーブデータだけでなく、ゲームの起動時に多くの時間が掛かり待たされてしまうと、一気に興ざめしてしまうこともあり得るだろう。そのため、HDDよりもアクセス速度に優れるSSDがゲーマーには人気なわけだが、HDDを利用していたユーザーがSSDに変更しようとしても、ゲームの再インストールなどハードルが高い場合がある。そういったハードルを無くす技術が、AMDが提唱する「StoreMI 2.0」だ。

このStoreMI 2.0は、SSDをHDDのキャッシュとして利用する技術だが、ゲームにおける有用性は、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」や「Project CARS 3」、それに「ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス」の検証で確認できた。では、さらにほかのゲームでもテストを行なうべく、今回は「DEATH STRANDING」で、ストレージによるロード時間の差異をチェックしてみたい。

Steamの領域確保でストレージごとに顕著な差
DEATH STRANDINGでもStoreMI 2.0の恩恵は大きい

DEATH STRANDINGは、KOJIMA PRODUCTIONSが手掛けたオープンワールド・アドベンチャーゲーム。「デス・ストランディング」と呼ばれる超常現象後の世界を舞台に、プレイヤーは伝説の配達人であるサム・ポーター・ブリッジズとなり、さまざまな任務を達成していく。コナミを退社した小島秀夫氏が、企画や脚本、それに監督およびゲームデザインを担当したことから注目を集めたゲームである。

DEATH STRANDINGのタイトル画面

このDEATH STRANDINGも、セーブデータのロードなどでそれなりの時間を要する。そこで、ゲームの起動時間やセーブデータを選択して、実際にゲームが始まるまでに要する時間を、ストレージごとに比較してみたい。今回も、StoreMI 2.0に関しては、HDDとPCI Express 4.0(以下、PCIe 4.0)接続のM.2 SSDを組み合わせて構築している。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 7 3700X」
(8コア/16スレッド、3.6GHz~4.4GHz)
マザーボード ASRock「X570 Taichi」(AMD X570)
メインメモリー DDR4-3200 8GB×2
ビデオカード Sapphire「NITRO+ RX 5700 XT 8G GDDR6」
(Radeon RX 5700 XT)
システムストレージ Plextor「PX-512M9PeG」
(M.2、NVMe、512GB)
検証ストレージ Seagate「BarraCuda」
(3.5インチHDD、Seriala ATA 6Gbps、2TB)
Seagate「BarraCuda 120 SSD」
(2.5インチSSD、Serial ATA 6Gbps、500GB)
Seagate 「FireCuda 510」
(M.2 SSD、NVMe、500GB)
Seagate「FireCuda 520」
(M.2 SSD、PCIe 4.0、1TB)
電源ユニット SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」
(1200W、80PLUS Gold)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」

さて、ゲームの起動に先立ち、SteamでDEATH STRANDINGをインストールするわけだが、その際にSteamがディスクに領域を確保する作業が行なわれることは、Steamユーザーなら誰しも経験があるだろう。この領域確保に要する時間が、ストレージごとに大きな違いがあったので、それを確かめておきたい。ここでは、インストール作業を5回行ない、その平均を結果として採用している。なお、StoreMI 2.0は、その仕様上、5回同じことを繰り返し、1回目と5回目の結果を併記している。

Steamでゲームをインストールする際、まずストレージにゲーム用の領域が確保される

その結果はグラフのとおりだが、HDD(Serial ATA 6Gbps接続)では20分以上の時間がかかるのに対して、SSD(Serial ATA 6Gbps接続)では2分半ほどでその作業が終わっている。M.2 SSD(NVMe接続)では、さらに35秒ほどにまで時間は短縮され、M.2 SSD(PCIe 4.0接続)では30秒と、HDD(Serial ATA 6Gbps接続)の47分の1程度の時間で済んでおり、ストレージの違いによる時間の差異は明白だ。

この作業はインストールの際の1回だけなので、それほど気にするところではないのかもしれないが、あまりにもストレージごとの差が大きいので、心に留めておいてもらいたい。なお、StoreMI 2.0はゲームのインストールはキャッシュされないので、その効果は表れない。

では、インストールしたゲームを起動し、タイトルが表示されるまでの時間を計ってみたい。ここでもテストを5回行ない、その平均を結果として採用している。

さて結果だが、HDD(Serial ATA 6Gbps接続)は45秒弱要するのに対して、SSD(Serial ATA 6Gbps接続)は36秒ほどと8秒の時間短縮を実現している。

さらに、M.2 SSD(NVMe接続)はそこから1.4秒、M.2 SSD(PCIe 4.0接続)は2.1秒と、わずかではあるが時間が短くなっている点が確認できよう。また、StoreMI 2.0の効果も大きく、1回目はHDD(Serial ATA 6Gbps接続)と変わらない結果だが、5回目はM.2 SSD(PCIe 4.0接続)と肩を並べるぐらいの時間にまで短縮されている。

ゲーム起動時の画面。KOJIMA PRODUCTIONSなど、いくつかのロゴが表示されるが、同時にゲームデータのロードも行なわれている

さらに、セーブデータのロード時間も比較しておこう。まずは、オートセーブされた箇所から始める「Continue」をタイトル画面から選び、キャラクターが操作可能になるまでの時間を計ってみた。なお、オートセーブは「依頼No.3 大統領の遺体を密かに焼却せよ」を受注したキャピタル・ノットシティにおけるセーブデータだ。

キャピタル・ノットシティの配送センターでのシーン(左)とキャピタル・ノットシティの隔離病棟での1シーン(右)

その結果だが、HDD(Serial ATA 6Gbps接続)は108秒ほどかかるのに対して、SSD(Serial ATA 6Gbps接続)は94秒弱と、14秒ほど時間が短くなっている。ただ、M.2 SSD(NVMe接続)やM.2 SSD(PCIe 4.0接続)でもSSD(Serial ATA 6Gbps接続)と横並びの結果になっているため、オートセーブのセーブデータを読み込む際には、単なるデータのロード以外の要素で時間を要しているのではないだろうか。なお、ここでもStoreMI 2.0は効果を発揮しており、1回目と5回目では9秒ほどの差が発生している。

Continueを選択し、オートセーブされたデータからゲームの続きを始める際、当然のことながらデータのロードが発生する。DEATH STRANDINGでは、この時間が結構長い

ロードが終了し、ゲームを始めることが可能になったところ

最後に、セーブデータを指定してからゲームを始める「Load Game」を選択した際のロード時間も比較しておこう。なお、ここでは「依頼No.1 スマート・ドラッグを配送せよ」を受注しているセーブデータを選択している。

その結果だが、HDD(Serial ATA 6Gbps接続)が40秒要するのに対して、SSD(Serial ATA 6Gbps接続)は32秒ちょっとと7秒以上の時間短縮を実現している。一方、そのSSD(Serial ATA 6Gbps接続)と、M.2 SSD(NVMe接続)やM.2 SSD(PCIe 4.0接続)とでは差がまったく生じておらず、SSDあればロード時間に差異はない。

また、StoreMI 2.0は、5回目でもM.2 SSD(PCIe 4.0接続)と並ぶまでは至っていないものの、1回目と比べると5秒短縮できている点は評価できよう。

Lead Gameからセーブデータを選択しているところ。今回は、一番下の依頼No.1を選んでいる

セーブデータを選択し、実際にロードが行なわれている画面(左)と、ロードが終了し、ゲームがプレイ可能になったことを通知する画面(右)

ゲーム序盤のスマート・ドラッグという荷物を回収し、セントラル・ノットシティに向かうシーン

NVMe接続やPCIe 4.0接続のメリットはないものの
DEATH STRANDINGでもStoreMI 2.0は有用

以上の結果から、HDDとSSDの差は誰の目にも明らかだろう。DEATH STRANDINGにおけるゲームデータのロード時間は、SSDにすることで劇的とまではいかないものの、時間を短縮できることは間違いなく、プレイするうえでのストレスを軽減できる。

ただ、NVMe接続やPCIe 4.0接続のメリットはあまり確認できず、SSDであればあまり差は見られない。また、StoreMI 2.0は、DEATH STRANDINGでも有用で、SSDをキャッシュとして利用することで、HDDの高速化を実現しており、今回の結果でもその効果を確認できたことは大きい。HDDからSSDへの移行に躊躇している人がいるのであれば、ぜひStoreMI 2.0を試してもらいたい。

PC version published by 505 Games. ©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. DEATH STRANDING is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS. All trademarks are the property of their respective owners. 505 Games and the 505 Games logo are registered trademarks of 505 Games S.P.A. Appearance in this game does not imply sponsorship or endorsement. © 2020 Valve Corporation. All rights reserved. Valve, the Valve logo, Half-Life, the Half-Life logo, Portal, the Portal logo, and the Lambda logo are trademarks and/or registered trademarks of Valve Corporation in the U.S. and/or other countries.


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