AMDは1969年創業で、今年は実に50周年にあたる。そこで50周年の歩みを簡単に振り返ってみよう。後編では2007年以降のAMDの功績を追いかけていく。
消費電力で苦戦するも
Phenom IIで巻き返す
2007年はやや苦境に陥った年である。Barcelonaというコード名で開発されていたK10の最初の製品であるPhenomは、性能はともかく非常に消費電力が多く、それもあって動作周波数も上がらないといった状況になっていた。
画像の出典は、AMD
それまでIntelはNetburstベースのPentium 4/Dがメインで、これが消費電力が多い割に性能が上がらず、それもあってAMDのCPUは人気を博していたが、前年にIntelが投入したCore 2シリーズはAthlon 64 X2などと互角の性能と消費電力であり、とくに2007年に投入されたPenrynコアはより消費電力を下げていたため、少し不利なのは否めなかった。
やや苦しかったAMDを支えたのは、DirectX 10(Direct3D 10)に対応したRadeon HD 2000シリーズと、DirectX 10.1(Direct3D 10.1)に対応したRadeon HD 3000シリーズの投入である。
余談になるがこの2007年、AMDはPLDを製造していた子会社のVantis Corp.をLattice Semiconductorに売却している。この当時Vantis Corp.が製造していたMachシリーズのFPGA(これも元を辿ると、1987年にMonolithic Memories, Inc.の買収で手に入れたシリーズである)は、現在もLattice Semiconductorで販売中である。
話を戻そう。その苦しかったPhenomであるが、まず新ステッピングで多少性能を改善させ、そして2008年には45nmプロセスに移行させたPhenom IIがリリース、初代の不調がまるで嘘だったかのように良い性能を発揮した。
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この年はまた、Radeon HD 4870もリリースされた。ハイエンド製品ながら3万円切りで、しかもGDDR5初搭載とあってずいぶん人気を博した。このRadeon HD 4870のRV770コアを利用したのが、HPC向けに初の1TFlopsの性能を実現した、AMF FireStream 9250である。
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