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続いては「DaVinci Resolve Studio」を使ったテストだ。8KのRED RAW動画を使って約2分半のシーケンスを作り、それをH.264のMP4形式で書き出す時間を計測する。書き出し時の解像度は8K(7680×4320)と4Kとした。
まずThreadripper 2990WXが一番遅く、BSCを有効にしたCore i9-10980XEの結果がないのはMedia Encoder 2020と共通しているが、このテストではThreadripper 3960X/3970Xの結果とRyzen 9 3950XやCore i9-10980XEの結果にあまり差が付いてない。4Kに書き出した際の差よりも、作業量の多そうな8K書き出し時の差の方が小さいのは直感に反する結果が出ているように見える。だが前掲のスクリーンショットでも分かる通り、カラーグレーディングやフィルター処理でGPUをかなり使っているため、8K書き出し時の方がGPUの処理待ちがボトルネックとなっているのだ。
また、このテストではThreadripper 3970Xより3960Xの方が若干速いことが読み取れるが、これも間違いではない。このテストの場合CPU占有率が常に上下するため、消費電力的に余裕のある(3960Xも3970XもTDPは同じ)3960Xの方がわずかに高いクロックを維持できる。結果として3970Xを上回れる、という塩梅だ。
もう一つ動画編集系として平面トラッキングツールである「Mocha Pro 2020」でも試してみたい。このアプリは動画のフレームを解析し、看板の絵を差し替えたり余計な歩行者を削除するといったことができるようになるものだが、今回はフルHD動画(420フレーム)上に写った車を消し込む(Remove)処理の時間を計測した。これもGPUを利用した処理に対応しているため、有効にした状態で検証している。
このテストでは第3世代ThreadripperよりもCore i9-10980XEが速く、さらにそれよりもRyzen 9 3950Xが速いというこれまでにない結果となった。GPU処理が入る部分ではシングルスレッド勝負となるが、コアが多くクロックの上がりにくいRyzen 9 3950Xが有利となるようだ。
もちろんGPUを使わずCPUのみを使えば、Threadripperが優勢に立つ結果が出るだろうが、GPUという強力な武器がある以上使わない手はない。少なくとも今回のテストの範囲では、Threadripperのアドバンテージは発揮されなかった、ということになる。