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気になる実力チェック!
ライバルのCore i7よりも性能が高い!?
今回試した「Mini PC PN50」が搭載しているRyzen 5 4500Uは、第3世代となるZen 2アーキテクチャを採用したモバイル向けCPU。前世代と比べコア当たりの性能が大幅に向上し、弱点となっていたシングルスレッド性能も大きく伸ばしているというのが特長だ。
しかも、Ryzen 5 4500Uは、ミドルクラスのモバイルCPUながら6コア6スレッドとコア数が多く、さらに基本クロックが2.3GHz、最大ブーストクロックが4.0GHzと動作クロックも高く設定されている。前世代となるRyzen 5 3500Uが、4コア8スレッド、基本クロック2.1GHz、最大ブーストクロック3.7GHzということを考えると、どうしても期待が高くなってしまう。
ちなみに、今回は時間が限られていたため、担当編集のジサトラハッチ氏の私物であるDDR4-2666のSO-DIMMメモリーを借りて検証を行なった。しかしながら、Ryzen 5 4500UはDDR4-3200まで対応している。より高クロックのメモリーを使用した方が、CPU性能は向上するので、メモリーによっては今回の結果よりも高いスコアーになることは覚えておいて欲しい。
ではベンチマークソフトを使い、CPUの最大性能をチェックしてみよう。今回試したのは、CPU性能チェックの定番ベンチマークソフトとなる「CINEBENCH R20」。CGのレンダリング速度から性能を独自スコアで表示してくれるもので、この数値が高ければ高いほど、高速なCPUとなる。CGレンダリングはマルチスレッドが得意とする分野のひとつとなるだけに、最大性能を見るのにぴったりなテストだ。
結果は上の通りで、マルチスレッドで2234pts、シングルスレッドで445ptsというもの。参考までに、過去に計測したRyzen 5 3500U搭載したノートPCの数値は、マルチスレッドで1448pts、シングルスレッドで366ptsというものになっていた。
割合でいうと、マルチスレッドで1.5倍以上、シングルスレッドでも1.2倍以上高速化している計算となる。
もちろん、メモリーの容量や速度も違うし、そもそもデスクトップPCとノートPCという違いもあるのだが、そういった条件の違いが些細なものと感じるほど性能がアップしているのがわかるだろう。
もうひとつ参考値として、Core i7-10810Uを搭載したノートPCのスコアも見てみよう。こちらはマルチスレッドが1964pts、シングルスレッドが469ptsというものになっていた。シングルスレッドでは一歩及ばないものの、マルチスレッドでは1割以上Ryze 5 4500Uが高いという結果になっていた。
CINEBENCH R20はあくまでベンチマークとなるため、このスコアが性能のすべてというわけではないが、少なくとも、Ryzen 5は格上となるCore i7といい勝負をするだけのポテンシャルがあるというのは確かだろう。
AMDのCPUといえば、内蔵グラフィック性能の高さも注目されている。こちらも定番のベンチマークソフトで、どのくらいの実力なのかをチェックしてみよう。
試したのは、軽量ゲームの性能判断によく使われる「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FF14ベンチ)と、重量級となる「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)の2つ。
まずはFF14ベンチだが、従来からノートPCでも設定次第で遊べるといわれる軽めのものとなる。といっても、解像度や画質設定を落としまくって、ようやく遊べるという程度なので、現実的かどうかは微妙なところだ。
このFF14ベンチを使い、解像度1920×1080、フルスクリーン表示という条件で、画質を「最高品質」「標準品質(デスクトップPC)」と変更した場合で試してみた。
結果は見ての通りで、さすがにAMDの内蔵グラフィックとはいえ1920×1080のフルHD解像度では最高品質で遊ぶのは厳しいシーンが多い。何とか遊べるものの、多少のラグやガタツキは覚悟した方がよさそうだ。
同じフルHD解像度でも、画質を標準品質(デスクトップPC)とすれば、動作は大きく改善。評価も快適となっている通り、ヌルヌル動くとまでは言えないものの、十分プレイできるレベルといえる。
もちろん解像度をさらに下げればスコアはアップするが、今度はドットの粗が目立ち、見た目が大きく見劣りしてしまう。それだけに、フルHDで楽しめるというのは、かなり実用性が高いといえるだろう。