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フルHDまでならなんとか踏ん張れる「F1 22」
「F1 22」では画質“超高”をベースに異方性フィルタリング16x、アンチエイリアス“TAA+FidelityFX”に設定。ゲーム内ベンチマーク(条件は“モナコ”+“ウエット”)再生中のフレームレートを計測した。
レイトレーシングの処理が入っているためRTX 3060の一人勝ちになると思われたが、フルHDに限ってはRX 7600がRTX 3060のすぐ後ろに追い付いている。解像度が上がるとVRAMやメモリーバス幅がハンデとなってフレームレートが激しく下がるが、フルHDまでならRTX 3060と競り合える性能を出せているといえる。
よく見るとRX 6600 XTのTBPがこの検証において異常に大きい。断言できるような材料に乏しいが、F1 22のレイトレーシング周りの処理が原因になっている可能性が考えられる。
「Forza Horizon 5」ではDLSS FGも使えるが……
「Forza Horizon 5」では画質“エクトリーム”、MSAAはx2に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。レイトレーシング設定のあるゲームだが、ゲームの仕様上限られたシーンでしか効かないため、ここではGTX 1060 6GBも検証に加えている。
元々Radeon系と相性の良いゲームであるため、フルHDでならRX 7600はRTX 3060を10fps程度上回るパワーを見せている。ただ現実に10fps差で新たに4〜5万円出すのはちと厳しい。買い換えなら、RTX 2060やGTX 1060あたりでないと、RX 7600へ乗り換えるメリットは見いだせないだろう。
RX 7600はRTX 3060以上の消費電力を叩き出しているが、フレームレートもそれなりに高いため、仕事をする分エネルギーも使っている、という解釈でよいだろう。ワットパフォーマンスも消費電力の大きさの割には大きくない。ただワットパフォーマンスのトップはクロックやや控えめのRX 6600 XTだった。
最低フレームレートが暴れる「Hogwarts Legacy」
ゲーム編最後は「Hogwarts Legacy」では画質“最高”、レイトレーシングも全て有効化&最高、アンチエイリアスは“TAA高”に設定。常時ボーダーレスウインドウ表示のゲームであるため、デスクトップの解像度を変更している。南門の橋〜ホグワーツ城内に至る一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
RX 7600でもレイトレーシングを活かした描画が可能だが、フルHDで鑑賞するのが限界。遊ぶことを考えるとVRAMが圧倒的に足らない。WQHDや4KでもRX 7600は20〜30fps出しているため動けることは確かだが、VRAMが強烈に不足するためテクスチャーの簡略化が激しくなる。このゲームを高画質で遊びたいなら、ぜひともRX 6700以上のGPUを選びたい。
フレームレートは低いがTBPどのGPUもそこそこ高い、ということはどのGPUもかなり頑張って処理を続けようと奮闘していることを示している。
まとめ:今のゲームには8GBは狭いが……
以上でRX 7600の検証は終了だ。先日レビューしたRTX 4060 Ti (8GB)でも観測されたことだが、BIOHAZARD RE:4やHogwarts Legacy、The Last of Us Part 1といった“VRAMをガッツリ使う今時のゲーム”には、RX 7600は少々窮屈な存在だ。RTX 4060 Ti (8GB)にはDLSS Frame Generationという強力な武器はあるものの、どのゲームでも対応しているとは言いがたいうえに、あちらは最安でも7万円と高価である。
逆に考えると、最新のグラフィックテクノロジー(例えばフレーム生成であるとか、高度なレイトレーシングといったもの)に無縁のゲームをフルHDで楽しみたいという人には、価格の安いRX 7600の方がずっと理にかなった製品だ。AMDはフルHD&最高画質で遊ぶためのGPUをRX 7600であると定義付けているが、額面通り受け取るのは危険だ。ある程度VRAMに余力を残しつつ、遊べる範囲で画質を盛って快適に遊ぶためのGPUであるといえるだろう。