PC向けで苦戦を強いられるが
ゲーム機が相次いでAMD製品を採用する
2012年、まずCPUではBulldozerの構造を若干改善したPiledriverコアのAMD FXを投入。APUの方も、CPUをPiledriverベースに切り替えたTrinityベースの製品が投入されている。
一方でGPUの方は、プロセスの微細化が足踏み状況にあり、2012年は引き続きRadeon HD 7000シリーズのラインナップを充実させるに留まっている。またこの年、AMDはサーバー向けに独自のインターコネクト技術を持つSeaMicroを買収している。
明けて2013年、CPUの新製品はついになくなるという非常に厳しい状況に追い込まれた。一応6月に、動作周波数が5GHzに達したAMD FX-9590/FX-9370を発表しているが、コアそのものは前年のPiledriverベースで、これの高速動作選別品に過ぎない。
画像の出典は、AMD
TDPは220Wに達し、いろんな意味で上限を塗り替えた製品ではあるが、これがシェア奪回に貢献したか? と聞かれるとほとんどそうした効果はなかった。
APUもTrinityをベースに若干の動作周波数を引き上げたRichlandベースの製品が出るにとどまった。これはGPUも同じで、まずはRadeon HD 8000シリーズが投入されたが、基本的にはRadeon HD 7000シリーズのマイナーチェンジに過ぎない。
2013年末にはRadeon R9 2xx/R7 2xxシリーズが投入されたが、こちらも下位モデルはほぼRadeon HD 7000/8000シリーズと同じで、ハイエンドのRadeon R9 290/290X/295Xのみ、やや大型のダイ(Hawaiiコア)を利用した形だ。TSMCの20nmプロセスが利用できず、28nmプロセスを利用する限りは、大きな性能改善が難しかったのは致し方ないところだ。
PC向けでは非常に苦しい戦いを強いられていたAMDであるが、この年に発売のPlayStation 4とXBox Oneが、どちらもAMDのJaguar CPU(Bobcatの後継となるCPUコア)とGCN(Radeon HD 7000以降で採用されたGPUアーキテクチャー)を採用したAMD製のセミカスタム品を搭載して出荷され、こちらでの売上がAMDを救うことになる。