CPU性能が色濃く影響するCG系を試す
性能比較の手始めはCG系ベンチマークのCINEBENCH R20と、Blenderを使って行なっていこう。Blenderは公式サイトからダウンロードできる「Gooseberry Production Benchmark」を利用している。
CINEBENCH R20の結果(単位:pts) | ||
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Multi | Single | |
Ryzen 5 3600X | 3709 | 496 |
Ryzen 5 3600 | 3661 | 488 |
Blender Gooseberry Production Benchmark実行の結果(単位:時間) | |
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Ryzen 5 3600X | 0:39:20 |
Ryzen 5 3600 | 0:40:02 |
CINEBENCH R20、Blenderともに結果はRyzen 5 3600Xが勝っているが、その差はわずかで、誤差の範疇に収まってしまうレベルになっている。
Ryzen 5 3600XとRyzen 5 3600には、定格、最大クロックにそれぞれ200MHzの差があるが、実際は負荷のかかるコア数などでクロックは異なってくる。30分以上全コアに100%負荷がかかるBlenderでのレンダリング中をみると、各スレッドがRyzen 5 3600Xが4042~4067MHzのところ、Ryzen 5 3600はおおむね3943MHzと、100MHzしか差はなかった。これでは誤差の範疇もやむを得ないだろう。
日常やビジネス用途をサクサクこなせる
アプリの起動からウェブ閲覧やドキュメント作成、表計算の実行、写真・動画の編集などといった実際の利用シーンのテストを行うことで、PCパフォーマンスをチェックする「PCMark 10」の全テストを実行する“Extended”を実行した。
「PCMark 10 Extended」の結果 | |||||
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Extended Score | Essentials | Productivity | Digital Content Creation | Gaming | |
Ryzen 5 3600X | 7763 | 10407 | 9013 | 8700 | 12030 |
Ryzen 5 3600 | 7647 | 10202 | 8873 | 8612 | 11852 |
アプリの起動時間やウェブブラウジングといった性能テストの「Essentials」から、オフィスシーンでのドキュメント作成と、表計算アプリを使ったテストの「Productivity」。写真や動画編集、CGレンダリングの性能を計測する「Digital Content Creation」、その名の通りゲーミング性能をチェックする「Gaming」と、いずれのテストグループも、Ryzen 5 3600Xのほうが若干スコアーを伸ばしているが、残念ながら、その差はわずかだ。
ただ、Ryzen 5を使った紹介PC構成は、Essentialsで1万オーバー、Digital Content Creationで8000スコアー後半など、いずれのテストでも高スコアーを出しており、高パフォーマンスなのは明らかだ。
ベンチマークでゲーミング性能をチェック
ここからはベンチマークと実ゲームを使って、ゲーミングパフォーマンスをチェックしていこう。まずはベンチマークの「3DMark」を行なっていこう。
「3DMark」の各テストの結果 | |||||||||
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Fire Strike | Fire Strike Extreme | Fire Strike Ultra | Time Spy | Time Spy Extreme | |||||
Ryzen 5 3600X | 14505 | 7152 | 3441 | 6364 | 2888 | ||||
Ryzen 5 3600 | 14492 | 7147 | 3413 | 6354 | 2877 |
ここまでで見えてきたRyzen 5 3600XとRyzen 5 3600のパフォーマンス差は、「3DMark」でも同じで、各テストのスコアーは、ほぼ横並びになっている。
続いては実ゲームを使った、高コスパゲーミングPCの実力とともに、Ryzen 5の差をチェックだ。
FFXIVやSWでパフォーマンスをチェック
ゲーミングパフォーマンスのチェックには「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FarCryNewDawn」、「Star Wars Jedi: Fallen Order」を使用している。
解像度は1920×1080ドットに統一し、描画品質は各ゲームの最高に設定し、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」はスコアーと、最小と平均フレームレートを、それぞれまとめた。「FarCryNewDawn」は、ゲーム内ベンチマークを実行し、「Star Wars Jedi: Fallen Order」は、チャプター2の同じシーンでのフレームレートを計測している。
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコアー結果 | |
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Ryzen 5 3600X | 15900 |
Ryzen 5 3600 | 15784 |
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の最小と平均フレームレートの結果 | ||
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最小 | 平均 | |
Ryzen 5 3600X | 44 | 108.9 |
Ryzen 5 3600 | 44 | 108.2 |
「FarCryNewDawn」のフレームレート | |||
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最小 | 平均 | 最大 | |
Ryzen 5 3600X | 72 | 90 | 111 |
Ryzen 5 3600 | 68 | 88 | 111 |
「Star Wars Jedi: Fallen Order」のフレームレート | |||
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最小 | 平均 | 最大 | |
Ryzen 5 3600X | 62.2 | 79.6 | 97 |
Ryzen 5 3600 | 62.6 | 77.6 | 98 |
「FarCryNewDawn」の最小フレームレートに差が出たものの、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」と「Star Wars Jedi: Fallen Order」では、完全に横並びだ。それも当然と言え、「Star Wars Jedi: Fallen Order」と「FarCryNewDawn」のプレイ中のCPUクロックを抽出すると、CG系と同じく差は最大100MHz程度で、おおむねRyzen 5 3600Xは4175~4250MHz、Ryzen 5 3600は4150~4200MHzになっていた。
消費電力は性能差以上に上昇
最後に、システム全体の消費電力チェックに進んでいこう。全コアに負荷をかけるCG系の「CINEBENCH R20」、「Blender」と、ゲーム系の「3DMark Time Spy Extreme」、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FarCryNewDawn」実行中のシステム消費電力を記録し、高負荷状態1分間の平均をまとめた。
高負荷時のシステム消費電力 | |||||
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CINEBENCH R20 | Blender | Time Spy Extreme | FFXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク | FarCryNewDawn | |
Ryzen 5 3600X | 152.3 | 149.1 | 203.13 | 223.7 | 234.2 |
Ryzen 5 3600 | 143.1 | 138.9 | 201.1 | 216.1 | 211.8 |
ワットパフォーマンス優秀な第3世代Ryzen 5だが、ここまでの両CPUの性能差を踏まえると、消費電力がアップしたほどの効果は得られていないだろう。
とは言え、ミドルレンジGPUのGeForce GTX 1660 Ti搭載ビデオカードを組み合わせているのもあり、ゲーミング中でも200W台前半になるRyzen 5はおすすめCPUなのは間違いない。
Ryzen 5&GTX 1660 Tiで最新ゲームを快適プレイ!
国内MMORPGの金字塔「ファイナルファンタジーXI」や、今話題の「Star Wars Jedi: Fallen Order」を快適にプレイできるパフォーマンスを発揮する高コスパなPCパーツを選りすぐって構成した、この冬おすすめのゲーミングPC構成にベストなCPUは、間違いなく、Ryzen 5 3600と言える。
ただし、冒頭で紹介したように、一部のショップではRyzen 5 3600Xとマザーボードの同時購入で、大幅値引きが発生することもあるので、そんなときは迷わずRyzen 5 3600Xを選ぶのが正解だろう。